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ふっかが会社を辞めたのは、それからすぐのことだった。今日はその報告とこれからの打ち合わせをするため、ふっかと再会したカフェに来ている。

(思いつきで会社辞めちゃっていいのかよ…)

あいつは普段は優しいお兄さんキャラだけど、実はギャンブラーで、時々突拍子もないことをやらかす。
思えば中学の時からそうで、俺はいつもそれを心配してみてたんだっけ。
でも、俺の心配とは裏腹に、その賭けが成功しなかった試しはない。なぜなら、ふっかは周りをすごく見ている人だから。
広告業界に入ったのも、そういう意味ではすごく向いていたと思う。


でもこれじゃ、その道を俺が捨てさせたようなもんだ。
ふっかの思いつきにワクワクしたのは事実だし、つい話に乗ってしまったけれど、今度の賭けはあまりにも無謀で、連勝記録ストップの危機なんじゃないか。
今になって、本当にこれで良かったのかという罪悪感がよぎる。


fk「ごめんごめん、待ったー?」

「いや、今来たとこだけど、お前『今会社やめてくっから〜』じゃねえよ、いいのかよ」

fk「ん?いいのいいの!ちょうど俺も毎日同じような仕事つまんねぇなって思ってたとこだし、このタイミングで照と出会えてよかったんだよ」

そう言って、キラキラした瞳でコーラを飲んでいるふっかはなんだか無邪気ですごく可愛い。


でも多分、ふっかのこの言葉や無邪気さは半分本当で半分嘘だ。
確かに現状に多少の不満はあったにせよ、今の安定した会社を辞めるという選択がどれほど重大なものか、あいつがわかってないはずがない。

それに、あいつはあくまで自分のために始めたことだっていうけど、じゃあ俺と出会ってなくても会社辞めてたかって言われれば違うだろうから、やっぱりこれは俺の責任だ。

あいつはあえて、それを悟らせまいとしているんだろう。


「ありがとな、ふっか」

fk「えー、どうしたんだよ急に。ん、でも、どう致しまして」

お礼を言ってみると、ふっかはやっぱりわからないフリをした。でも、顔を見れば俺にはわかるんだ、ああ、俺の思ってること、伝わったんだなって。

.→←家族を求めて



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作者名:わかめ | 作成日時:2020年1月15日 1時

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