. ページ47
sk side
さらっと立候補したように見せているけど、阿部ちゃんは多分緊張している。自分が照にどう見られているかわかっちゃうんだから、無理もないか。
それなのに、
iw「阿部のは一瞬で出来る」
なんて照が言ったもんだから、
ab「嘘でしょ心の準備が」
なんてますますわかりやすくオロオロし始めている。
阿部ちゃんは頭が良くてみんなから頼りにされることも多いけど、その実緊張しいだし、不器用だし、些細なことで自信をなくしてしまったりもする。
でもその分、彼はいつでも努力を怠らなかった。だからこそ、勉強も部活も、そして仕事も、きちんと形になっているんだと思う。
中学の頃、気の向くままに生きていた俺にとって、そういう真面目な阿部ちゃんの生き方はすごく新鮮だった。
阿部ちゃんはきっと知らないけど、初めてノートを貸してくれたあの時の、そのずっと前から、俺にとって阿部ちゃんは気になる存在だったんだ。
阿部ちゃんをダンス部に誘うって話も、照は正直乗り気じゃなかったみたいだけど、俺がどうしてもって言い張って引き込んだ。
ね、照、正解だったでしょ？
iw「お待たせしました。ミドリミルクです」
おお、確かに一瞬。出て来たのは、柔らかなパステルグリーンの一杯だった。
iw「メロンのリキュールと牛乳を使ってる。甘くてちょっと懐かしい味なんだ。阿部、駄菓子好きだしハマると思う」
それを聞いて恥ずかしそうに微笑む阿部ちゃん。
駄菓子好きを覚えててくれたのが嬉しいんだろうな。
iw「それから、カクテル言葉は、真理を追究する多芸多才な努力家 。阿部のそう言う生真面目なとこ、俺は好き」
照の阿部ちゃん評、見事に佐久間と見解一致しました。他のみんなも納得の表情。
fk「阿部ちゃんは努力の人だからな」
ab「まだまだだよ」
nb「ほらそういうとこ」
阿部ちゃんが頑張ってること、みんな知ってるよ。
その姿を見てきたおかげで、俺も頑張って来れたんだ。支えになりたいとか言って、本当に支えられてたのは俺の方かも。
だから阿部ちゃん、もっともっと自分を褒めてあげていいよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 954人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わかめ
| 作成日時：2020年1月15日 1時
