僕たちの帰る場所 (ページ46)

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照が翔太をイメージしてカクテルを作る。そのこと自体、俺にとっては感動的なことだった。
俺はずっと翔太と一緒にいる中で、照のことが原因で翔太が辛く気まずい思いをしたのも見ているし、翔太が照の変わらない部分を目の当たりにして心から喜んでいたことも知っているからだ。

それに、本人たちはきっと否定するだろうが、翔太と照は似ている。例えば人に接する時の温度感や、行動指針みたいなものが被って見えるんだ。
どちらも他人にきちんと厳しい視線を向けられる人だから、時にぶつかり合うけれど、その分強く結びつくこともできる。
あと、強そうに見えて案外甘えたがりなところも似てる、なんちゃって。

照の手元に注目すると、ライムと砂糖をグラスで混ぜ合わせ、そこにクラッシュアイスを入れているようだ。流石と言うべきか、作業する手先まで美しい。

使うのはカシャッサとブルーキュラソーという2種類の酒だそうで、度数はなかなか強めかもしれない。翔太酔っちゃうかもな。連れて帰らないと…

iw「お待たせしました。ブルーカイピリーニャでございます」

出されたのは、翔太らしく見た目も美しいカクテルだった。

iw「ブラジルの海をイメージして作られたカクテルなんだ。カクテル言葉は、情熱的で無邪気ないたずら者」

…まさか、そんなに見事に翔太を言い表したカクテルがあるとは思わなかった。
あいつは熱い心の持ち主だけど、実はとってもかわいいところのある奴だ。

ところで、昔の翔太は自分で『イキってた』っていうくらいトゲトゲしていたから、照は翔太の無邪気でかわいい部分を見る機会ってあまりなかったはずだ。
それなのに、再会してからの半年できっちりその一面がバレているのもまたいい。

nb「うわ、綺麗ー！こんな青いの作れるんだね。夏とかに良さそう。
…あ、甘くて美味しい。これ知らない間に酔っちゃうやつだよ、涼太～」

はい、予想通りです。みんなのニヤけた視線がちょっとだけ痛い。

ab「舘さまちゃんと連れて帰ってよ～？じゃあ次は俺かな」

iw「はい、少々お待ちを」
そういうと、照はカウンターに戻っていく。

さて、次も楽しみだ。