僕たちの帰る場所 (ページ37)

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iw side

みんなの心配がすごく良くわかる。
滝沢さんは、思っていた以上に鋭い人だった。
それなら俺も本気で向かっていかないと、きっと見透かされてしまう。

そもそも、ふっかも阿部も濁したけれど、融資が難航したのには俺のバックグラウンドが多少なりとも影響しているようだった。
だからこそ、俺の作るこの一杯に、店の運命がかかっているということだ。

目を瞑って一つ深呼吸をすると、シェイカーを手に取る。
ベースはウィスキー。そこに、ドライヴェルモット、レモンジュース、オレンジジュースを注ぐ。
それを軽くシェイクして、出来上がった薄黄色の液体をグラスへ。

黄色は、ダンス部で色違いの衣装を着るときに俺がよく着ていた色だ。

「お待たせしました。ホールインワンでございます」

『いただきます』

一口飲んで、何か考えるように黙り込む滝沢さん。

『すっきりとした味で、飲みやすいです。
ですが、岩本さんはゴルフにゆかりがあるわけではないでしょう。なぜあえてこれを？』

「カクテル言葉ってご存知ですか。ホールインワンのカクテル言葉は、奇跡を信じて、なんです」

俺の答えに、滝沢さんはゴクリと唾を飲んだ。

『今の言葉とあなたの目に、全てが詰まっているような気がします』

fk「滝沢さん、それじゃあ」

『はい。僕はあなた達に全面的に協力します』

その言葉に、カチカチに緊張していた待機組が一気に弾けた。

「「っしゃー！！」」

nb「涼太もよかったな」
dt「ああ、翔太も協力ありがと」

「おい、まだやること山積みなんだからな」
sk「んなこと言って、自分が一番うれしいくせに」

弄られる俺を見て、滝沢さんまで大笑いしている。

『深澤さん、阿部さん。来ればわかるっておっしゃったのは本当でした。これからもよろしくお願いします』

fk「ありがとうございます」
ab「こちらこそ、よろしくお願いします」

これで資金も整った。
俺たちの夢が、どんどん近づいている。