来ればわかる ページ34
fk side
それからいくつかの銀行を回ってみたものの、いきなり店を始めようという俺達を門前払いにする所も多かった。
だけどその中で、1人だけ親身になって話を聞いてくれた担当者さんがいた。
滝沢さんといって、俺たちより一回りくらい年上のはずなのに、すごくキラキラとして若々しい人だ。
滝沢さんはこんなことを話してくれた。
『あなたたちのように若い人たちだと、仲間内の思いつきだけでやってくることも多いんです。
でも、あなたたちは違うと思いました。長い時間をかけて、きちんと準備をしてきている。物件探しや、資金計画がしっかりしているのがその証拠です。ただ…』
滝沢さんが言いよどむ。
『非常に申し上げにくいのですが、先ほど、お仲間の方のことがきっかけで開業を目指されているとおっしゃっていましたよね。
もちろん、親御さんのご事情については今回の事業とは関係ありませんが、前職をお辞めになった経緯のこともありますし、昨今の金融業界はそういうところに厳しいので…』
ab「その件はすでに示談も成立していますし、何より事情があってやったことです。それよりも、彼のそういう真っ直ぐなところは、絶対にこの店に必要なんです」
『ですが…』
fk「誰一人として、欠けることは考えられません。それに、照はバーテンダーとしても大きな戦力になってくれる人なので。
なんなら、料理も含めて、一度振舞わせてもらえませんか。そうすれば、僕たちの言葉の意味がわかると思います」
『…わかりました。僕としても、あなたたちのことは応援したい。そうさせてもらいます』
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作者名:わかめ | 作成日時:2020年1月15日 1時