僕たちの帰る場所 (ページ4)

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いつもあいつはページ4

iw side

fk「で、なんで逃げるかなぁ」
あの後2人で入ったカフェでふっかにこう聞かれて、俺は縮こまることしか出来なかった。

なんて言ったって、実に10数年ぶりの再会だ。何から話していいのかわかんないし、それに俺が逃げたのは…

fk「ま、言いたくないならいいけどさ。てかお前その傷大丈夫かよ」

俺がだんまりしているからか、さらっと流して俺の傷を心配してくれるふっか。そういうところは10年以上たった今でも変わってないな、とぼんやり考える。

最初はテンパってて傷のことなど気にならなかったのだが、改めて言われると痛いような気がしてくるから不思議だ。

「つかお前のせいだろ」

そうふてくされて見せると、目の前の顔がふわっと緩む。

fk「お前が逃げるから…って言いたいとこだけど、まあ悪かったって」

ああ、やっぱりふっかだ。
懐かしさがじんわりこみ上げてくる。
ふっかの魔力にやられて、俺もつい会話を紡いでいく。

「ふっか今なにやってんの？」

fk「俺？広告代理店で働いてる。さっき照と会ったとこ、あれうちのオフィスの真ん前よ？」

ああ、やっぱふっかは優秀だな、広告代理店なんて、みんなの憧れの職業じゃん。それに比べて俺は…

fk「そういう照は？てか中学のとき突然いなくなったの、みんな心配してたんだからな…今までどうしてたんだよ」

…やっぱり来たか。
さっき逃げたのは、そのせいなのに。
ふっかも、中学の時のみんなだってきっと、今はどこかの一流企業で立派に働いているはずだ。
そんな人に俺の過ごしてきた人生のことを話せというのは、あまりに惨めだ。

もしかしたら、みんな離れていってしまうかもしれない。
そうなってしまうくらいなら、中学の時の綺麗な思い出のまま、みんなの心の中にいたい。
それくらい、あの時間は俺にとって大事な思い出なんだ。

でも、心のどこかで、誰かに助けてほしいと思っている自分がいることも知っている。
こいつなら、それが出来るんじゃないか…？