ねえ、ジュノン。

・ ページ6

・







『拝啓 親愛なる孫娘、苗字名前





この手紙を読んだということは、そういう事になってしまったのだろうな。





単刀直入に言う。貴方は「極道」の世界の人間である。






貴方がいつもおじいちゃんと呼んでいた私は、ここ苗字組の頭である。




苗字組は、私は、正義感が強いゆえに他の組を裏切った。





そしていつしか他の組から狙われていた。





極道に裏切り者はいらない、と。







そして私のせいで貴方の本当の両親は、私の息子とその女房は、貴方が1歳の頃に死んだ。





どこかの組の奴らに殺されたのだ。私は号泣した。息子を、そして息子が愛した女を殺されたのだから。







違う意見を言って何が悪い？



貴方は自分と違う考えを持っただけの人を殺そうと思うか？








息子達がこの世に残した一人の娘を、いつ死ぬか分からない私のそばに置くことは出来なかった。





だから私の組から借金をしていたある家庭に、借金を返さなくていい代わりに貴方を託したのである。




貴方の身元が他の組織に知られてしまうまで、大切に育てて欲しいと。




そしてその家庭から離れる時が来たということは______







自慢の可愛い孫娘だ。分かってくれると信じている。




貴方が今これを読んでいるこの時間ですら、奴らはこの組を潰そうと必死に貴方を探している。





何せ貴方を殺せば苗字組は完全に消滅するからだ。



貴方と血が繋がっている人間はもう居ないからだ。



苗字名前は、貴方しか居ないからだ。







貴方はこう聞いていただろう、私は病気で亡くなったと。




しかし私は健康だ。病気になんざかかりゃしない。





じゃあ何故私は死んだのか？








息子同様、私も殺されたからだ。









受け入れるのには時間がかかるかもしれない。




恐怖に怯えながら毎日を生きるかもしれない。





だけど、それが貴方の運命なのである。




信念を曲げずにここまで来た苗字組を、貴方に守って欲しいのである。







なあに、心配はいらない。






ジュノン、シュント、レオ。




そいつらを筆頭に、貴方を命をかけて護る輩が大勢いる。







最初で最後のお願いだ、名前。





貴方が死ぬその時まで、この苗字組を守ってほしい。





貴方にしか頼めないのです。











最後に。





貴方が死んだら天国で沢山謝らせてくれ。





愛しているよ。名前。








苗字組 十代目 苗字祖父の名前 』

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す