ねえ、ジュノン。

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「あ！ジュノン！まだ部屋入らないで」



「終わったんじゃないのか？」



「まあまあちょっと待ってなさいよ、短気」



「お前、それ何持って…？」



「だから待ってってば、短気」



「一言余計なんだよさっきから…おい待てよ」








なんだかテンポのいい会話が部屋の外から聞こえてくる。



ジュノンずっと待ってんのかな…素直に待っている姿勢が少し可愛いと思った。








「お待たせ名前ちゃん。さ！これに着替えて」




「ええ？！こんなの似合わないですって」




「女の子に彫ることなかなか無いからごめんなさいね、テンション上がっちゃって。お願い〜」




「私で、いいなら……」







セリナさんに背中を向け、もう一度服を脱ぐ。



渡された着物は深い緑をベースに、ゴールド、シルバー、黒が施された豪華な着物だった。



セリナさんが着付けを進めてくれる。







「うわ…ほんとに背中スースーする」




「綺麗でしょ、この着物。絶対名前ちゃんにもこのユリにも合う」








セリナさんは着付けを終えると部屋の奥から自前の一眼レフを持ってくる。



彫り師といい着付けといいカメラといい、多趣味な人だと思った。








「髪の毛もアップにしちゃおうか…はい、これで纏めれる？」




「うわあ…可愛いですね、このヘアクリップ」




「でしょ！なんだか名前ちゃんとは趣味が合う気がする」







私は貸してくれたゴールドのヘアクリップで髪を纏めた。







「うわあちょっと…名前ちゃん貴方、宝石みたいよ」




「え？」




「すっごく綺麗！本当に18歳？」




「セリナさん、褒めても何もないですよ」




「お世辞じゃないのよ、ほんとに」








とか言って満更でもない私は、向けられたカメラに背中のユリを見せるように背を向けた。

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