検索窓
今日:8 hit、昨日:13 hit、合計:77,081 hit

97:江戸の景色 ページ32

江戸へ辿り着いた私たちは、
品川にある旗本専用の宿、
釜屋に身を寄せる事となった。

京にいた時とは違い、
今の私に出来る事は何もない。


やるとしたら、洗濯ぐらいかな?


お偉いさん方と話が出来るわけでも、
指示を仰ぎに行けるわけでもないのだから、
仕方ないと言われれば仕方ない。




原田「お前は、本当に縁側が好きだな」

A「落ち着くじゃないですか」




何処に行っても私の居場所は変わらない。

それを知っているからこそ、
原田さんは迷わずここへ来たんだろうな。


何をするでもなく、原田さんは隣に腰掛け、
同じ空を見上げている。

一番どうしたらいいのか分からないのは、
原田さんたち幹部隊士なんだろうな…。




原田「おし!出掛けるか」

A「お出掛けなんですね。いってらっしゃい」

原田「何、寝惚けた事を言ってんだよ。
お前と行くんだよ」

A「え?私、ですか?」




私の返事を聞かず、
原田さんは笑顔で私の腕を引っ張り上げた。

そのまま、ほぼ無理やり外へ連れ出されてしまう。




A「あの、何処に…?」

原田「お前、江戸に来てから外に出てないだろ?
何処へ行くって決めてねえけど、
散歩にでも行こうぜ」




かなり強引な誘いだったけど、
きっとじっとしていられないんだろうと悟り、
引かれるまま宿を出た。


原田さんは本当に何処へ行くでもなく、
ただただ歩いているだけ。

江戸に来たのは姉様を探しに来た時以来だけど、
土地によって人って全然違うんだな…。


京の人はゆったりっていうか、優雅っていうか…。

だけど江戸の人はキビキビしているし、
せっかちな人が多いような気がする。


そして、何より驚いたのは…。




A「女の人が、強い…」

原田「江戸の女はモノをはっきり言いやがるからな」




ハハハッと笑う原田さんは、
何だか懐かしいものを見るような目で歩いている。

姉様も江戸に住んでいたから、
だからあれだけはっきりと言うようになったのかな?


気付けば歩いていた場所は、
町から離れて、少し閑散とした場所へ来ていた。




A「あの、何処へ行くんですか?
町から離れているような気がするんですが…」

原田「ちょっと行きてえ場所が出来たんだよ」




行きたい場所?

そういえば、
原田さんも江戸にいたんだっけ…。


手を引かれるままに歩く。

民家が立ち並ぶ場所を通り過ぎ、
林の中へと入っていく。

少しだけ歩くと、
古い鳥居の前で足が止まった。

****→←****



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
66人がお気に入り
設定タグ:薄桜鬼 ,
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

斎藤ようこちゃん(プロフ) - 斎藤さんと恋仲になって欲しいです。 (2020年5月24日 22時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月19日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。