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94:時代のうねり ページ25

戦の最中だというのに、
私は何をしているんだろう。

こんな所で立ち止まっている余裕はないのに…。

まだこの腕の中にいたいと願ってしまうのは、
何故なんだろう…。


それでも必死に涙を止め、
心を奮い立たせて
斎藤さんの腕からすり抜けた。




A「あの砲撃だけでも、どうにかしないと…」

斎藤「無茶をするな。
隊士たちも先に引かせた。俺たちも行こう」

A「でも…」

斎藤「副長次第だが、機会があるなら夜だ。
だから一度引く」




夜なら闇に紛れて動けるし、
相手の銃も狙いを定めにくくなる。

そういう事なんだろうな…。


それに同意し、斎藤さんに付いて走り出した。




斎藤「俺が鬼、か…」

A「すみません…」

斎藤「いや、あんたと同じなら、悪くない」

A「それは、どういう…?」

斎藤「戯言だ。気にするな」




私と同じだから何なんだろう?


斎藤さんの言いたい事がよく分からず、
首を傾げるしかなかった。


それにしても…。

私ってば、なんて大胆な事を…っ!


いくら斎藤さんを死なせたくないと思ったとはいえ…っ!
今になって、恥ずかしくなってきた…。




斎藤「どうした?顔が赤いが」

A「な、何でもありません!」




……斎藤さんが何とも思っていないなら、
気にするのは止めよう。


私たちは必死に走り、
視界に奉行所が見えて来た。

その建物が見えた道の先。
見知った人の走る後ろ姿を見つけたんだ。




A「あれって、土方さんですよね?」

斎藤「様子がおかしい…」




何があったんだろうか?

いや、今は戦の最中。
何があってもおかしくはないけれど…。


私たちは奉行所を通り過ぎ、
土方さんに向かって走った。




斎藤「副長!」

土方「お前ら、無事だったか」

A「何かあったんですか?」

土方「今、千鶴と源さんが
淀城へ援軍を呼びに行ってるんだが…。
淀藩が寝返りやがった。
寝返った以上、あの二人が危ない」




井上さんが…、姉様が、危ない!


私と斎藤さんは息つく暇もなく、
土方さんに付いて走り出した。


息が切れる。
脇腹が少し痛い。

それでも、そんな事を気にしている余裕はない。


走って走って、走りに走った。

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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 斎藤さんと恋仲になって欲しいです。 (2020年5月24日 22時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月19日 7時

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