検索窓
今日:1 hit、昨日:37 hit、合計:77,111 hit

**** ページ17

藤堂「難しく考えんなよ。
俺は生きてる。
それはAのおかげだろ?
総司もだけどさ、病気が治って、
近藤さんや新選組の為に今も刀を振り続けられてる。
それもAのおかげだろ?
生きたいって思うやつを生かした。
それで、いいんじゃねえの?」




そっか…。
そんな単純な事でいいんだ…。

その人の人生まで考えてしまうから、
だから変若水を使う時に迷うんだ。


もちろん使いたくない人だっている。
その人には使わなければいい。

でも、その人が望むなら、
その人が生きたいと望むなら、
私は迷わなくていいんだ…。


ずっとあった心のつっかえが、取れた気がした。


朝餉の準備が進み、
お味噌汁にお味噌を溶いたら終わり。

その後は配膳して…。

なんて考えている時だった。




藤堂「ぐ…っ、はぁ…っ」

A「大丈夫ですか?」




変若水を飲んだ平助君には、
もちろん吸血衝動がある。

この半月、何度も何度も襲ってきた事。

腕に包丁で傷を付け、
血が流れる腕を平助君の目の前に出した。




藤堂「ごめんな…。痛い、のに…」

A「大丈夫ですよ。
気が済むまで飲んでください。
足りないようならまた傷を付けますから、
遠慮なく言ってくださいね」




生暖かい舌が傷口を這う。

これは何度やっても慣れない心地だ…。


チクチクとする痛みと、
柔らかい舌の感触は、どうも相反している。

しばらく腕に口を付けていた平助君だったけれど、
髪の色も元に戻り、
落ち着きを取り戻した所で、
腕から平助君の口が離れた。




藤堂「はぁ…。この衝動は慣れねえな…」

A「慣れる必要なんてありません。
慣れてしまったら、
それこそ羅刹のように血に飢えてしまいますよ」

藤堂「そうだな…。ごめんな、いつも…」

A「気にしたら負けです」




なんて冗談のように言えば、
平助君は笑って「ありがとな」と言ってくれた。

私の血を飲めば鬼になる。
姉様の血だけを飲めば、
一生吸血衝動と付き合っていかなければいけない。

その話をした時、
平助君は迷わず「鬼になる」と言ったんだ。

一生、私たち鬼の血を飲まなければいけないのなら、
痛い目に合わせなきゃいけないのなら、
俺は鬼になって新選組の為に生き、
私たちの力になりたいんだって。

ここの人たちは強いです。
剣の腕や体が丈夫とかの話ではなく、
心が強いんです。


私ももっと、心を強く持たなくてはいけませんね…。

91:動乱の序章→←90:復帰の朝



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
66人がお気に入り
設定タグ:薄桜鬼 ,
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

斎藤ようこちゃん(プロフ) - 斎藤さんと恋仲になって欲しいです。 (2020年5月24日 22時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月19日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。