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私の手に触れる平助君の手は、
信じられないほどに冷たかった。

スルッと手から抜けて無くなった変若水。

すぐに小瓶の蓋が開く音がして…、
喉を通る音だけが響いた。




藤堂「う…っ!かはっ…」




平助君の苦しむ声が聞こえて心が痛んだ。

もし私が戦癒血じゃなかったら…?
純粋な治癒血の持ち主だったら、
もしかしたら平助君は変若水を飲まなくてもよかったのかな…?

そんな話は聞いた事がないけれど、
もしそうだったらと考えだしたら止まらなかった。

苦しむ声が止み、落ち着いた呼吸が聞こえる。




A「どうですか?」

藤堂「……痛くもないし、苦しくもない」

A「良かった…。
でも私、また人ではなくしてしまった…っ」

藤堂「俺が選んだ道だから。
なぁに気にしてんだよ!A、泣くなよ…。
俺は後悔なんてしてない。
寧ろ、Aにんは感謝しかねえんだからさ。ありがとな」




止まる事を知らない涙は、
包帯を通り抜けて床にボタボタと落ちていく。

頭に置かれる平助君の手は
他の人よりも少し小さいけれど、
それでもしっかりとした力を持っていて、
生きているのだと実感できた。

そのまま平助君に抱き着き、泣いた。




A「おかえり、なさい…っ!
平助君、おかえりなさい!」

藤堂「……ただいま。
なんだかAのおかえりは、久しぶりで擽ったいな」




あれだけ冷たかった手は次第に温かくなり、
平助君の体温を戻していった。

90:復帰の朝→←****



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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 斎藤さんと恋仲になって欲しいです。 (2020年5月24日 22時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月19日 7時

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