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89:二人目 ページ12

斎藤さんが戻ってきた。

御陵衛士に行っていたのは
任務だったと聞いた時は、かなり驚いたけどほっとした。

熱を出した事も、
斬られてしまった事も知られてしまったけれど、
それよりも戻ってきてくれた事が嬉しくて仕方ない。

またしばらく屯所には戻れないと言っていたけど、
今度は任務だと分かっているから、
寂しさはあっても悲しさはない。


頬が緩む。

両手で頬を押さえてみても、
緩んだ頬は戻りそうにないな。


……何で、こんなに嬉しいのかな…?

もし平助君が戻ってきても、
ここまで頬が緩むのかな?


斎藤さんの足音が聞こえなくなって、
どれだけの時間が経っただろうか。

何だか外が騒がしい。




永倉「千鶴ちゃん!山崎!いねえか!」




この声は永倉さん?
何をしんなに慌てているんだろう?

それに微かだけど、
風に乗って漂ってくるこの匂いは…。




A「血の、匂い…?」




誰か怪我でもしたのかな?
大けがじゃないといいんだけど…。


見えない私が一人では動けない。
気にはなるけど…、行きたいけど…。

私には、何も出来ない…。


それからまた少しの間、静寂が訪れていた。

その静寂を破るかのような廊下を走る足音が、
私へ近づいてきている。




千鶴「A!お願い、助けて!」

A「姉様?どうしたの?」

千鶴「平助君が…、平助君がっ!」

A「落ち着いて!
平助君が何?どうかしたの?!」




焦る姉様の声は震えていて、
的確な話をなかなか聞く事が出来ない。

それでも急いでいるという気持ちは伝わってきた。

これは姉様から聞くより、
誰かに聞いた方が早いな…。




A「姉様、連れてって」

千鶴「うん!こっちだよ!」




私の手を取り、姉様は走った。

曲がる時だけ速度を落としてくれて、
落ちたり転んだりしないよう配慮してくれる。

血の匂いが濃くなる。


何があったの…?
何でこんなに血の匂いがするの…?


姉様が立ち止まったようで、
その背中にぶつかってしまった。




山南「A君…」

永倉「そうか!Aちゃん、頼む!
平助を助けてやってくれ!」

A「何があったんですか?」




永倉さんは姉様より落ち着いていて、
何とか話を理解する事が出来た。


伊東さんの暗殺。

その伊東さんを餌に、
御陵衛士の人たちを呼び寄せて斬り合いになった。

そこへ、天霧君と匡ちゃんが来ていたのだと…。

藩命で来ていたと推測できる天霧君に、
平助君はやられたのだと…。

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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 斎藤さんと恋仲になって欲しいです。 (2020年5月24日 22時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年9月19日 7時

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