グロウアップ

◇4 ページ5

続き




鈍い音がして辺りに鮮血が飛び散った









でも痛くない





あぁそうか





死んだらもう痛くないもんね







そっと手で首、胸、腹をさする









「なんで…血が…ついてない…？」






私の体には一つも傷がついていなかった






その代わり目の前には_______________






皆が良く言っていた"鬼"がいた






第一印象は不思議、かな






目が六つあるの






綺麗な袴を着てたの





前にはもう既に息絶えているお母さんとお父さん








別に二人が"食べられている"のを見ても何とも思わない





せめて私を殺してからにしてよ…








前で両親を貪る鬼に私は喰われようと思った









決心して暫く両親の死骸を見つめていたが鬼は
全く私を食べない








不思議な事に襲おうともしなかった









鬼は骨まで両親を喰いつくし此方を見た








「ふっ…あのお方のお気に入りなだけ…ある」






ボソリと呟き、鬼は去ってしまった









「一体…何だったの」







死んだ両親を目の前に私は包丁を手に取った








「(楽になれる……私が死んだら皆も…)」









悔しさの涙なのか、哀しさの涙なのか。









一粒、ほろりと涙が流れた









勢いづけて私は自分の胸に包丁を突き刺した









つもりだった







ｶﾞｼｯ








「何故、生きることを諦める？」







・

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