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29話 ページ31

「っ!」

パチっと目を覚ますと、
見たことの無い場所にいた。

救急搬送されたんだろうかと思うけど、
未だ心臓は痛いし
病院とは思えないボロさだし
病院らしい匂いもしない。

「うそぉ」

ジャラジャラ言うなぁと思えば
手足はバッチリ鎖に繋がれているわけで。

趣味悪すぎ!

「廃墟で縛られるみたいな
性的嗜好はないんだよ夏油くん」

「あれ、気づいてた?」

「…………まぁあの催馬楽暗殺計画の時にね。
あんなに立て続けに
呪霊が出せるってなると君でしょ」

出来れば当たって欲しくはなかったけどね。
と私は呟く。

「ずっと探してたんだけど、
どこにもいないから困ってたんだ。
呪術師を辞めたって風の噂で聞いてたけど……
悟のためにロシアに行ってたんだってね?」

「……なんでも知ってるんだねぇ」

ソースはどこ?
と聞いても教えてはくれないだろう。
それよりも私をわざわざ拉致した理由を知りたい。

殺すため?

「……本当はもっと早く
呼ぶつもりだったんだけど……
思ったよりも粘るから」

「は?」

「あの……君に言わせれば催馬楽暗殺計画?
の時、掌を撃たれただろ?」

「………………」

「その時にちゃんと種を仕込んでおいた」

言わんとすることがわかって私はため息をついた。
どうやらずっと寄生されていたらしい。

「余計趣味悪ぃな。
…………で、ずっと監視してたわけだ。
私が堕ちるのを。」

「一応ね。
そんな事しなくても
脳みそにまで根を張ってあるから
堕ちた瞬間
君は自分でここに来る手はずになってた」

「ストーカーって言うんだよ、そういうの」

いつからそんな
ネチネチした技を使うようになったんだよ、
と私が軽く舌打ちすると、

「じゃあ本題に入ろうか」

「!」

あっという間に私と彼の距離が縮まる。
……こういうとこまでそつなくこなす当たりは、
以前と全く変わらないらしかった。


「私の野望に賛同してくれ」

「否定はしない。
私はしようと思わないけど。
賛同はできない。」

呪術師として。
分からないとは言えない。

「…不満が?」

「君の言ってることがわからんとは言わないよ
そういう手段を取れば、
仲間が馬鹿みたいに死ぬことも無くなるんだろう」

「豚どもに群がられることも無くなる。
私たちの世界だ」

「それで呪霊に手を借りて。
本当にそれ、成功すると思ってんの?」

あいつらに人を思う気持ちはない。
夏油くんだって。

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ワイヤー女 - 新さん» ありがとうございます!!とても励みになります!これからも是非ともよろしくお願い致します! (2020年5月25日 16時) (レス) id: cedc192f36 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - めっちゃ好きです!!全てが好きです!!更新頑張れぇぇぇぇぇ!!!!! (2020年5月25日 13時) (レス) id: e596ede8e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よく骨を折る田中 | 作成日時:2020年5月23日 18時

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