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1話 待って非公開にしてた意味わかんなかったでしょ!すみません!! ページ3

「催馬楽Aは特級になれていた」

学内でそんな噂を小耳に挟んで、
僕は思い切り舌打ちした。

思い出したくもない名前が聞こえてきて、
無意識に拳をにぎりしめる。


催馬楽とは家の関係で、
幼少の頃からお互いを見知った仲である。

呪力もほとんどないし、
呪霊が見えるだけのぽんこつ。

それが五条一派での
催馬楽Aへの認識だった。

別に近親ではないし、
自分としてはそんなことどうでも良くて、
ただ同い年の子供がいる。
それくらいの興味でしかなくて。

でも、運悪く自分たちと同世代で、
呪力を持って生まれた子供が少なくて。

彼女は本家の近臣を育てる場に
半ば無理やり連れてこられる羽目になったのだ。


幼い頃から
自分が他の奴とは違うのは分かっていた。
同じ場で稽古することは無いし、
自分が数年前にした稽古を、
稽古場でしているのを見た。

その中で。

出来るやつからはバカにされ、
一般に出来ない奴からは
憐れみと同等の侮蔑を。

とっとと帰ればいいのに。

幼心に哀れになって、
1度声をかけたことがある。

「坊ちゃんには
憐憫がどれだけの侮辱か
お分かりにならないでしょうね。」

あの時の僕はよく我慢した。
1歩間違えば殴ってた。

……今となっては意味はよくわかる。
あの頃のあいつを憐れむのは、
出来るやつの自己満足ってやつで。

それにブチ切れた俺は、
もう二度と声をかけるものかと思っていたのに。

「催馬楽Aです」

見違えるほどの呪力量。
体に刻まれた見慣れない術式。
己と同等の能力を持つのではと思うほど、
汎用性に優れたその能力。


「勝ち取ったんだ」

「……どこまでも先にいますよねぇ、あなたは」


僕達を組ませるのは勿体ないと、
いつもお互い違うやつらと組んでいたけれど

たまに特級相手に組むことがあれば、
あいつと僕が危うかったことなどあるだろうか。

しかも自分の体の術式は必要ともしない。

「五条さんとやる時は、
もっと裏方で十分でしょ」

なんだコイツ。

どんどん進化する。
あんなに下にいたのに、
気づけば我が物顔で自分の横に立っている。

天才。

その二文字を僕達は欲しいままにした。のに。






「辞めます。
ここじゃ私は満足出来ないので。
……それでは。ご武運お祈りしております。」






簡単に捨てた。
驚くほど軽く、捨て去った。



それから、僕は彼女と会っていない。





「あーうざ!!!!」

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ワイヤー女 - 新さん» ありがとうございます!!とても励みになります!これからも是非ともよろしくお願い致します! (2020年5月25日 16時) (レス) id: cedc192f36 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - めっちゃ好きです!!全てが好きです!!更新頑張れぇぇぇぇぇ!!!!! (2020年5月25日 13時) (レス) id: e596ede8e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よく骨を折る田中 | 作成日時:2020年5月23日 18時

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