another story「カゲロウデイズ」 ページ7
____君の亡骸を、抱いていた。
「………」
「しん、いち、ろ……?」
わたしを見ると、安心したように、
なにも言わずに瞼を閉じる君。
血飛沫の色と、
君の香りが混ざりあった。
無味の空気を飲み込む。
「あ、ぁああぁぁああああ…ッ」
なんとも味気のない結末が、
あまりにも気持ち悪くて。
乾いた涙ばかりを食べた。
何度も繰り返したバッドエンドが、
心に棲みついてしまって。
[ ]
顔をあげれば、アスファルトの奥、
掠れた陽炎が''これは現実だ''と言いたげに揺れる。
嘘だ。夢だと信じたかった。
生きてほしかった。
変わらぬ明日に縋りたかった。
幸せになってほしかった。
「五月蝿い、五月蝿い、五月蝿い」
君を轢きずり鳴き叫ぶトラックの音が、
君を貫ぬき突き刺さる鉄柱の雨が、
嗚呼、
・
頭から離れない。
・
「……わかったよ。」
・
こんなよくある物語なら、
きっと結末は一つだけだ。
……なあ、そうだろう?
________迫る鈍色の刃に、君を押し退けた。
体に大きな衝撃が走る。
空も地面もぜんぶ真っ赤に染まって、
ぐちゃぐちゃに溶けていく。
熱を反射する、君の瞳を見た。
視界に霞む横顔が、
あまりにも美しくて。
「ザマァみろ…!」
最後にわたしは、
世界の奥、揺らぐ陽炎に笑ってみせた。
・
某月某日、よくある夏の日のこと。
そんななにかが、漸く終わった。
another atory「side マイキー」→←後書き+α
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!!!(プロフ) - おいどんさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです!そうですね…続編はまだ悩むところですが、過去のお話はありかもです!かける時に少しずつやってみようかと思います!ありがとうございました♪ (2021年9月28日 11時) (レス) id: cbd2d135ba (このIDを非表示/違反報告)
おいどん - なんか最後の方涙で全然見えなかったけど、すごく面白かったです!!続編めちゃめちゃ見たいです!!真一郎と両思い?だった時の世界線もみたいです!!! (2021年9月28日 1時) (レス) @page9 id: e404c70624 (このIDを非表示/違反報告)
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