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JK「姫様!」
「ジョングク……」
泣きそうな顔で私に駆け寄ってきた彼を見て、私も思わず涙が溢れそうになる。
JK「…俺、姫様が俺のことを助けてくれたって聞いて……」
頭を下げた私に、父様は大きなため息をついて「…そんなに、あいつが大事か?」そう尋ねた。
「この命に代えても守りたいと思うほどには。」
私がそう告げると、父様は静かに私を見つめた。
その目には先程の怒りなんてものはなくて、思わず呆気にとられてしまう。
「…お前が嫁ぐまでだ。
お前が嫁いだ後はもう二度と会わさない」
父様は、変わらず静かに私にそう告げた。
そうしてジョングクは解放された。
父様がこんなに寛大な措置をとってくれた事に正直拍子抜けした。
私を嫁がせるためにジョングクを助けてくれる事までは想定内だった。
だって、そうでもしないと隣国との交友関係が崩れてしまうから。
けれど、嫁ぐまでのわずかな残された時間ももう彼とは会えないものだろうと思っていた。
それだというのに、父様はそれをしなかった。
もちろんそのことに疑問しかなかったが、これほどにありがたいと思ったこともなかった。
彼とまだ一緒にいられる。
その事実が既に砕け散った私の心をギリギリのところで支えてくれた。
けれど、やっぱり神様なんていなかった。
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作者名:ナノカ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年3月31日 19時