心の声で恋をする (ページ9)

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9.どこか行こうよ！ページ9

ym.side
先輩と心の声で会話するようになって2週間くらいすぎた。

めっちゃ楽しいし癒される。

山田『・・・でさ、』

伊野尾(いいなぁ。)

山田『え？何が？』

伊野尾(毎日いろいろ話してくれるじゃん？そんなに楽しい日々を送れてていいなぁって。)

山田『そうかもしれないけど、そんなこともないよ？』

もうどんな話をしても暗くなるだけな気がするな。

山田『先輩は楽しくないの？』

伊野尾(楽しくない。辛い。早く話せるようになりたい。)

本人も話せるようになりたいとは思ってたんだな。

てことは今話せない理由ってわかってないのかな。

話せなくなっていた理由はわかってるだろうけど、今も話せない理由は別にある・・・？

だめだ。俺こういうややこしい話苦手。

山田『だったら、また今度俺とデートしようよ！』

伊野尾(嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌)

山田『わかったって。でも、俺と一緒なら色んなところ行けるかもよ。』

伊野尾(本当に？)

山田『行きたいところとかない？俺とだったら問題が起きても大丈夫だよ。』

どこに行きたいんだろう。

カフェとかケーキ屋さんとかかな♪

伊野尾(清水寺、とか金閣寺も行ける？)

山田『き、きっと行けるよ。』

ちょっと驚くような回答が返ってきたな。

清水寺とか金閣寺？？？なぜに？

伊野尾(修学旅行で行けなくなっちゃったし、昔の建物にちょっと興味があって、)

ちょっと顔を赤くして言うってことは嘘じゃないんだろうな。

山田『いいじゃん！お金貯めて行こうよ。』

伊野尾(うん。行きたい！)

なんとなくだけど、先輩最近よく笑うようになったな。

まぁ声は出てないから、微笑むって感じなんだけど、なんかいいよね。

先輩の微笑みが世界を救うといっても過言ではない気がする。

伊野尾(何考えてるの？)

山田『ん？どうやってお金貯めようかなって。やっぱりバイトかな。』

伊野尾(家の手伝いとかじゃ無理なの？)

山田『お小遣いは月に3500円くらいだから、食べ歩きとかもするなら考えないと。』

毎日のように食器とか風呂洗って、たまに洗濯物を干したり夕飯作ったりしてるのにこの値段っておかしくね？

まぁもらってる側だからそこまで文句言えないけど。

伊野尾(そこまで考えなくていいよっ！)

山田『せっかくなら色々食べたいじゃん？俺の勝手だから大丈夫だよ。』

伊野尾(でも・・・)

山田『楽しみだね！』

マイナスに考えてほしくない。

笑っててほしい。