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こんな時に頭が回るはずもなく、逃げ惑う人々の背を追うように走る。

角を曲がれば、そこの橋を渡れば、助かる。きっと誰かが、助けてくれる。




その誰かがわからないまま、何もかも通り過ぎていった。安心が見つかる事等、ない。

どこに行けばいいのか、分からない。






いつの間にか通学路となっていた学校へ続く道を走っていて、もしかしたら、学校に着けば助かるかもしれない。私達の様に逃げていた人がいるかもしれない。


そんな甘い希望を持ちながら、学校へとつながる坂を駆け上がる。





火事場のバカ力とは、こういう時に使うのだろうか。そう思えるほどにどこから力がでているのかも分からなかった。



遠くへと駆ける度、だんごの様に纏まって走っていた人間が少なくなる。どうなったのかなど、考える余裕も無いし知りたくなどなかった。





とうとう足がもつれ動かなくなった私は、散乱した瓦礫に倒れるように隠れ、呼吸を整えようと大きく息をする。
掠れた空気しか出なくて、足も腕も痺れたように痛い。泣き叫びしがみつく弟の背中を何度もさする。大丈夫だよ、そう言いたくても、声が出てくれない。


立ち止まっていられない、と数秒の休憩を得て学校への道を目指そうとした時





ゴウンッッ





空気を切り裂く様な音と共に、凄まじい破壊音が響く。

それまで怖くてできなかった、後ろを見る事。初めて、それを実行した私は息をのむ。

あんなに走っても、ものの数歩で追いつくそれはもう眼前までせまっていて。

その足を大きく上げ踏み下ろそうとしている場所はきっと、私と共に逃げてきた数人がかたまるこの、場所。




誰か、助けて。





そう叫びたくて口を大きく開くも、恐怖なのか走りつかれたせいなのか、空気がもれる音だけで肝心な声がでない。弟を抱きしめ、後ずさる。



私は酷く、無力だった。




今になってあふれる涙に恐怖のあまり閉じてしまう瞳。


抱きすくめ蹲り、いつものように帰ってくるはずだった両親の顔を思い浮かべる。

まだ話したいことだって、遊びたいところだって、沢山、沢山あったのに。





「…たす、けて……ッ!!」




ようやく音になった声も掠れ、大きく波打つ鼓動の終わりを覚悟した刹那。










「お姉ちゃん、無事?」





耳をつんざくような破壊音と共に、軽やかな声が頭上へ届いた。

・→←あの時



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設定タグ:ワールドトリガー , 夢小説 , 迅悠一   
作品ジャンル:アニメ
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ぐりーん@Umi(プロフ) - 黒崎ソラさん» ありがとうございます!頑張らせて頂きます〜! (2016年9月14日 7時) (レス) id: 969dfe5434 (このIDを非表示/違反報告)
黒崎ソラ - 面白かったです!更新頑張ってください! (2016年9月12日 4時) (レス) id: b15a705d85 (このIDを非表示/違反報告)
ぐりーん@Umi(プロフ) - 蜜柑雨さん» わぁぁお褒めの言葉ありがとうございます!!更新頑張らせて頂きます♪ (2016年9月11日 11時) (レス) id: 969dfe5434 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑雨(プロフ) - とっても面白買ったです!!ほのぼの感が最高です!更新楽しみにしてます! (2016年9月11日 1時) (レス) id: 94c773db22 (このIDを非表示/違反報告)
ぐりーん@Umi(プロフ) - setunaさん» わわ、勿体無いお言葉を!!嬉しい限りですありがとうございます(*´ω`*) 18歳組可愛いですよね!頑張らせて頂きます♪ (2016年9月10日 22時) (レス) id: 969dfe5434 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2016年8月17日 15時

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