Ability I (ページ10)

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「そして、私は異能を持った子ども達の教育を行っている学校で教師をしている者です」

と先生が言うと母さんと父さんの顔の警戒の色が薄れ少し安心の色が現れた。何事かと思っていたのだろう。

「突然で驚かれると思いますが、うちの学校としては智くんに入学して欲しいというか入学して頂かないといけないんです。そして将来は国の施設で異能力者として働いて頂きます…突然な上に全て決定事項で申し訳ありません」

と先生はそこまで言い切った。そこで母さんが口を開いた。

「話しは分かりました。…智、あなたはどう思ってるの？」

と真っ直ぐ僕の目を見て聞いてきた。

…正直そんな所行くもんかって思ってた。
この人嫌だし…

でも、話を聞いて、特別有効な使い道がなかった自分の力を人のために使える場所があることを知って少しだけやってみたいという気持ちもあった。

この力を僕が持ってる理由を見つけられるかも知れない。

…それにあの夢のことも

「…僕は…せっかく力を持ってるんだし、やってみたいと思ってる…いや…行かせてください！」

僕は母さんと父さんの目を真っ直ぐ見つめ返す。

そんな僕を見て、母さんはクスリと笑うと

「そこまで言うなら大丈夫ね。智が思うよう精一杯やってみなさい」

と頷いた。それを見て父さんは

「最後に一つだけお聞きしたい事があります。それは…国の為に命を懸けるということですか？」

と先生に真剣な顔で言った。

「…常に危険と隣り合わせではあります。ですが異能力者になってから生き延びる為の術を身につける為に学校があり、そこで1人前になるために厳しく指導します。仕事の依頼をする国もしっかりとした下調べの後こちらに依頼してきます。…絶対大丈夫とは言い切れませんが、国の為に命を懸けろと言うことは絶対にありません」

先生は言い切った。

それを聞いて父さんはふっと力を抜き

「分かりました。ありがとうございます。どうぞ智をよろしくお願いします」

と母さんと共に頭を下げた。

「ありがとうございます。それでは」

と先生も頭を下げ、挨拶すると帰っていった。