Ability I (ページ9)

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　９. 説明と説得ページ9

『ただいまー』

「あっ帰ってきた」

と僕がぽつりと呟くと先生が椅子から立ち上がった。

「突然お邪魔してすいません。少しお話よろしいでしょうか？」

帰ってきたらいきなり玄関に知らない人がいる状況に驚いている両親に悪いと思いつつ自分も親の前に立つ。

「はぁ、大丈夫ですけど…」

全員で席につき、どう話を切り出そうかと悩んでいると先に母さんが話を切り出した。

「それで…あの…どちら様でしょう？」

いきなりこの人が異能を扱う学校の先生だって言っても、まぁ信じてもらえないだろうし…

…見せるしかないかな。

…

僕は覚悟を決めて自分の能力を見せる事にした。

「ちょっとこれを見て欲しいんだ」

そう言って手に水を出現させ、そっと反応を伺う。

思った通りぽかんと僕の手を見つめている。僕は引かれてないことにまずホッとしたがこの後どう説明しようかと思っていると

「この力は異能というものです。智くんは今日本に4500人ほどいる異能力者の1人になります。彼がこの力を手にした理由は分かりません」

と先生が力について説明してくれる。

「えっと…僕がこの力を使えるようになったのは10歳の時…黙っててごめん」

ごめんという言葉で今まで心ここにあらずって感じで話を聞いていた母さんに

「謝ることじゃないわ。そんな簡単に言えることじゃなかったでしょうし…私達も気付いてあげられなくてごめんね」

と言われ、俺は化け物だと言われるわけでもなく、問い詰めるわけでもなく受け入れてくれたことに驚いた。