48. 準備 ページ48
翔side
俺は実家に帰る1週間前からテスト勉強はもちろんだが、メンバーにバレないよう密かに準備を進めていた。
学校の実習室を借りて呪符を作ったり、武器だけでなく戦うのに必要な備品を確認し手入れをする。
呪符というのは自分の力を込めたもので、展開や発動に時間のかかる技によく使う。時間短縮になるし、その時間があるかないかで命も左右される。
今回はないけど、これなら自分の属性以外の技も使うことが出来る。本音を言うと雅紀の回復の呪符が欲しいがメンバーを巻き込む訳にはいかない。
…たかが実家に帰るだけだろ?
そうなんだけど、念には念を入れないと…心配かけたくないし
今日も遅くまで実習室に篭り準備をしていた
翔「ただいまー」
和「おかえりー翔さん宛に手紙届いてた。机の上に置いてある」
和はそう言って風呂場へ消えていく
翔「ありがと」
俺はすぐに手紙を見つけ、部屋の隅で誰にも見られないよう封を切った。
ーーーー−−−−−−−−−−−−
翔へ
元気にしていますか?
今度の会合のことですが、父も母も地方で仕事があり参加出来ません。ごめんなさい。
無理はしないように 母
−−−−−−−−−−−−−−−−
簡潔な手紙。
でも、少しの危険を冒してでも送ってくれたのはありがたかった。
…久々に1人で乗り込むことになる
この前の見られてたからかな…
それが原因で俺1人ならマズイかもしれない
一体いつまで続くんだろう…
…準備を入念にしてて良かったと思う反面、無事に帰って来れる確率がぐんと下がり不安も溢れる。
智「…くん?しょーくん!」
翔「っ!何?びっくりするじゃん」
智「大丈夫?」
俺の顔に不安の色でも滲んでいたのだろうか?
心配そうな顔で聞かれた。
翔「大丈夫だよ?」
智「…出発するの土曜日だよね?」
翔「うん、昼前には出るつもり」
智「分かった」
それを聞くと智くんは何やら考えるように俺の側を離れて行った。
…
土曜日
俺が荷物をまとめ終わり、そろそろ出ようかと思っていると、朝からどこかへ出かけていた智くんが何かを持って帰って来た
智「翔くん!」
翔「おぉ、どしたの?智くん」
智「これ、持ってって。俺の術と雅紀の回復の呪符」
そう言って数枚の呪符を差し出した。
翔「えっ…どうしたのこれ」
智「何かの役に立つかもでしょ?あっ、雅紀には詳しいこと言ってないから」
翔「…ありがと」
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作者名:紀衣 | 作成日時:2021年1月11日 21時