32. 噂 ページ32
和side
雅「ねぇねぇ、和!」
和「なに?」
放課後、掃除をしようと古い家に向かって歩き出してすぐ後ろから雅紀の声と走ってくる音が聞こえてきた。
追いつかれそのまま並んで歩き出す
雅「ねぇ聞いた?今日のお昼ぐらいに火の鳥が飛んでるの見た人がいるんだって!」
和「へぇーそれで?」
雅「何だと思う?」
和「櫻井家からの使いでしょ?」
雅「えっ?」
和「はっ?何だと思ってたんです?」
雅「何かオカルト的なのかと思ってた…どういうこと?」
和「だから、櫻井家からの使いですよ。ここには関係者も多いでしょうし」
雅「えっと…櫻井家って?」
和「…知らないんですか?」
前を向いて歩いていたがその言葉を聞いて思わず立ち止まって雅紀の顔を見ると、申し訳そうな顔でこちらを見ていた。
和「…櫻井家っていうのは御三家の一つで火の一族、だから櫻井家は連絡なんかに火の鳥を使ってる」
雅「御三家っていうのは?」
和「まじか…御三家っていうのは櫻井家、立花家、大野家のことでそれぞれ火、木、水の一族」
雅「へぇー…櫻井家?翔ちゃんは?」
和「…おそらく関係者だとは思うけど、詳しいことは分からない。面と向かって聞くわけにもいかないし」
雅「そうだよね…」
それからは雅紀とどうでもいい話をしながら歩いて家を目指した。
和「リーダー?」
俺が玄関を開けてそう言うと少しして前の襖からリーダーが顔を出した。
智「おかえりー」
雅「ただいまー!」
和「何したらいいですか?」
智「こっち入ってきて一緒に畳拭いて」
雅「はーい」
昨日までは玄関にも上がれないような状態だったのに玄関はすっかり綺麗になって廊下は襖までだけ綺麗に拭かれている。
その襖を開けると20畳ぐらいの大きな和室が広がっていた。一番奥の壁側だけ板張りのキッチンで向かって左側は障子で奥の縁側が見える。
リーダーはその部屋の4分の1ぐらいのところを拭いている。俺も始めようと雑巾をバケツに入れる。
和「冷た」
小さな呟きだったはずだけどそれを聞いたリーダーが顔を上げた。
智「ふふ、でしょ?翔ちゃん来たら温めてもらえるんだけどね」
和「すいません、翔さんと潤くんももう来ると思う」
朝からずっとこの水で掃除してくれていたと思うと、申し訳なくてなんだかよく分からない返事をしてしまった。
翔「来たよー」
潤「わぁ綺麗になってる」
玄関から2人の声がした。
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作者名:紀衣 | 作成日時:2021年1月11日 21時