30. 掃除 ページ30
智side
晩ごはんを食べたあとその日は解散になり、次の日はそれぞれがそれぞれの授業に行ってしまった。
別に授業出ても良かったんだけど、多分途中で寝ちゃうし、それならもっと意味のあることをしようと、バケツと松潤に貰った大量の雑巾を持って朝からあの古い家に向かった。
玄関に荷物を置いて家の外観を見る。うーん…すごく狭いわけじゃないけど5人がここで一緒に住むとなるとやっぱり狭いよな…
昨日は玄関にも上がれず間取りも分からないままだったから、中を詳しく見る為にも掃除を始めることにした。
持ってきたバケツに異能を使って水を出す。
いや〜こういう時ほんと便利。
バケツ持って歩かなくていいし
雑巾を濡らし拭いてゆく、やはりすごい汚れで一度拭いたぐらいじゃ綺麗にならない。
玄関に上がれるようになる頃には一枚雑巾が使い物にならなくなってしまった。
玄関を上がってすぐ廊下を挟んだ斜め右の所に襖があった。その扉を開ける為に気合を入れて拭いていくがまだ季節は4月中旬十分に水は冷たい。
指先が冷たくなっていく、あーお湯が欲しい…
そこであっと気が付いた。
…おいらお湯出せるじゃん…
自分の異能を忘れるなんて…いつも周りに人がいたから使わないようにしてたから忘れてた。使ったら異能2つ持ちってバレるからね。
バケツの水を一旦捨て、お湯を入れる。水に意識を向けながら自分の中で火のイメージをする。
お湯で拭き始めると汚れもスムーズに取れるようなった。夢中で廊下を拭いていると玄関の開く音がした。
翔「やっぱりここにいた。玄関むっちゃ綺麗になってる!ありがとう!」
智「うん、何で翔くんいるの?授業受けるんじゃないの?」
翔「…もう昼休みだよ?お昼食べよう、持ってきたから」
智「もうそんな時間?!気付かないかった…」
翔「そんだけ真剣にやってたんだよ。ずっとここにいるの?」
智「うん、朝からずっとここにいる」
話しながら翔くんは食堂で調達したと思われるお弁当を俺に渡し、側にあったバケツを退けて隣に座る。
ご飯を食べながらダラダラと話す
翔「じゃあ授業始まるから行くわ。また放課後掃除しにくる」
智「うん、おいらも続きやる」
翔「あんまり無理しないでね」
そう言いながら翔くんは授業に向かって行った。
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作者名:紀衣 | 作成日時:2021年1月11日 21時