18. 憩いの場 ページ18
その大きく立派な日本屋敷は人の住んでいる気配はなく、白い塀で囲われ中を伺うこともできない。
空き家のようだった。
正門と裏口らしき扉を開けようとしたが開くわけもなく中の様子を知るのは諦めて周りをぐるっと見てみる。
正面からだとあまりその大きさが分からなかったがゆうに十人ぐらいは住めそうなくらい奥行きがあつた。
そして僕は家の横の木のそばに気持ちの良さそうなハンモックとピクニックテーブルを発見した。さらにその背後に誰かが練習した跡が付いた木の束も
付いていた傷は古いものだったから、今ここを使っている人はいないだろうと見当をつけ、試しにハンモックに寝転がってみた。
「…ふぅ」
時折、森から気持ちの良い風が吹いて、日も当たりぽかぽかと暖かい。お昼寝にもってこいの場所だった。このまま寝っ転がってたら確実に寝てしまうので気合を入れて起き上がると背後にあった木の束に壊さないよう水の弾を緩く撃ってみた。
ところが木の束にはかすり傷1つ付かなかった。もう一度さっきより強く確実にダメージがあるように撃ってみたが、またかすり傷1つ付かなかった。
「何これ?」
今度は念のためにと持ってきていた双剣を構えて思い切り切りかかってみたがまたまた傷1つ付かない。
仕組みはよく分からなかったが、普通に攻撃しただけでは壊れない練習するにはもってこいの物だった。
もう日が暮れそうだったので寮に帰る。何をするにも最高の場所を見つけ思わず笑顔が溢れた。
入学して授業が始まってから一週間が経ちここでの生活にも慣れた。毎日のようにあの場所へ行きテーブルで宿題をやったり、異能や剣の練習をしたり、昼寝をしたり…充実した日々を送っていた。
だが今日は気が緩んで、疲れが出たのかなんとなく身体が重かった。
その日の夜
「はっ!…っはぁはぁ…」
久しぶりにあの夢を見た。
この頃は見る回数もずいぶん減ってたなになぁ…まぁ熱を出すこともなくなってだいぶ楽にはなったが辛い事に変わりはない。
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作者名:紀衣 | 作成日時:2021年1月11日 21時