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ー 『忙しいから仕方ないんだろうけど、仕事って感じが時々出ちゃってるんだよね。アイドルなのに。』
「そうかなぁ…」
収録が終わってまたスマホを開くと、リプライが届いていた。
アイドルというものはきっと…
現実離れしたもので、理想の塊でなければならないんだと思う。
ひとを魅せ、人に見られるものだから…
俺達は人間である以前に
アイドルでなくてはならないのかもしれない。
自分自身を売り物にする以上、それがプロだ。
彼女はそれを言いたいんだろう。
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ー 「どうすれば彼らは良くなると思う?」
…他人に聞いたってどうしようもないけど
なぜだか彼女の意見を乞いたくなった。
送信するとすぐにスマホがバイブで揺れる。
ー 『それはあの人たちが考えることだけど、もっと初心に戻ってほしいかな…デビューしたての頃、私ARMYだったの。』
ー 『みんな幼かったし、初々しいから良く見えたのかもしれないけど、今よりずっと謙虚で素敵だった。』
ー『それが今じゃ賞取れて当然みたいな態度が時々話題になって…それが残念だからあんまり好きじゃなくなったの』
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送られてくる言葉がシンプルに刺さる。
自分じゃデビューしてからずっと変わらないように気をつけていた謙虚ささえも、ファンの目にはそう映るんだ…
気付かぬうちに、この奇跡のような現状に
慣れなんてものが生じていたのかもしれない。
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作者名:芙 | 作成日時:2019年2月18日 16時