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MG「お疲れ、じゃあホテルに帰るから準備してなー」
前日のリハーサルを終えて、汗を拭きながら
ゾロゾロと舞台裏に消える。
明日はついに本番だ。
それが終われば…
「…はぁ」
リハの疲れとは別の疲労を感じる。
いつもなら、何事もなくツアーが終わるかどうかを考えて気疲れしてしまうのに
今回はもっと大きな心の負担がある。
他のメンバーは俺よりは多少心が軽いかもしれないけど…
いつまで暗い顔で過ごせばいいんだろう。
俺だって笑顔でステージに立ちたいのに
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ベッドに横になれたのは夜の11時を回る頃だった。
珍しく通知が0のあのアプリを開く。
ー「遅くなってごめんね。誕生日おめでとう!今から電話できるよ」
そう送るといつも通りすぐに返事が来る。
ー『お疲れさまです。ありがとうございます!私も準備OKなのでいつでもかけてください!』
少しだけ緊張する。
うまく喋れるかどうかもそうだけど、俺の特徴でもある声で、彼女に正体がバレないかが不安で。
ゆっくり通話マークをタップした。
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…
ー『もしもし』
「あ…はじめまして」
ワンコールで出て、途端に緊張の波が押し寄せてきて口ごもる。
ー『はじめまして、なのかな?笑』
「違う?あ、誕生日おめでとうだ!」
レイさんはクスクス笑って、ありがとう、と言った。
その優しい声に緊張が解けていく。
「いつも返事遅くてごめんね。体調はどう?」
ー『ううん、私の一日の楽しみだから全然。体調はねぇ…最高だよ!』
「ほんとに?よかった」
それからぺちゃくちゃと他愛もない話をして盛り上がった。
今日一日で初めて笑ったかもしれない
気づけば時計の針は深夜1時を示していた。
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作者名:芙 | 作成日時:2019年2月18日 16時