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グクをはじめ、ジニヒョンやジミンは俺の異変に気づいていたらしい。
異変といっても悪いことではなく
むしろいいことで。
音楽番組で受賞したとき、ステージで涙を流した俺を見るジニヒョンの顔を思い出す。
解散しようと言う話を最初に持ち出したのはジニヒョンだったらしい。
俺達が毎日疲労困憊で時々体調を崩したり、精神的な面で苦しんでたことを長男として気にしていたんだろう。
事実、
"受賞しなければならない"
"評価されなければ意味が無い"
いつの間にかそんな意識が根付いてしまっていて。
誰のために、何のためにこうやって生きてるのか
それすらを見失っていた俺達をみて思ったらしい。
目標に掲げていたものを大きく超えた、贅沢な人生を貰ったんだ。
死に物狂いで過ごしてきた自分達ですら予想もしていなかったそれを目の前にした時、
当初の人生目標は遥か下にあって、天井のない空を永遠に昇り続けるのは気が遠くなりそうなことで。
初心を失ったわけではない。
ただ俺達は、自分が描いていた未来より遠くに来すぎてしまったんだ。
だから手探りで前に進んでみたけど
そこにあるのは、明日も分からないような闇ばかりだった。
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JN「…何が正解かわからないんだ」
JN「もしかしたらこのままBTSでいることが正解なのかもしれない。でもそのせいでみんなが苦しむならそれは正しいとは思えないんだ。」
例えArmyが望んでもね、と語尾を濁して俯いた。
TH「…みんな、それでいいの」
NJ「テヒョン以外のメンバーは了承してるよ」
HS「今すぐにとは言わないから考えてみて。相談があるならいつでも乗るから」
みんな俯いていて、
1人また1人と自分の部屋に帰っていく。
TH「…ジミナ、」
JM「テヒョン…」
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ずっと一緒に頑張ってきて
血肉を分け合ってきたジミナ。
掴んだその腕が、するりと俺の手をすり抜けて
ドアの向こうに消えていった。
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作者名:芙 | 作成日時:2019年2月18日 16時