鬼たる者、冷静沈着で然るべき

報告書NO.1 ページ2

(A)は一人、華やかな街の中を歩く。
時代の流れというのは凄いと現世に出てくるたびに思う。いつの間にか街には電気が使われて鮮やかな色で街を照らしているのだから。

「それにしても、鬼の動向・・・ですか」

時は数日前に戻る。
鬼灯様に単身赴任を言い渡され詳しく話を聞いた。
どうやら平安時代から続いていた生者の鬼化がどうやらこの時代で大きく変わろうとしているとのことだった。
時折、鬼として生者を喰い殺した亡者がやってくることがあった。人としての記憶を失い凶暴な鬼として生活していた亡者達は、三途の川を渡りきる頃には全てを思い出す。大概は自身の大事な人をも手にかけている事が多く、自分の行いに絶望していた。裁きを下す側もこういった例はとても難しい。
その亡者達は皆「鬼舞辻無惨」という名を出す。生者の鬼化の元凶であるその男は平安時代からずっと生きているらしい。
そう、生きているのだ
鬼舞辻無惨は人の道から外れたが「生きている」生者に手を出してはいけないのが、あの世の原則。
鬼灯様がよく「死んでいたら私自ら狩りに行くのに」とぼやいている。
と、話が少し逸れてしまったけれど、どうやらこの時代でそれが終わるかもということで今回、私が現世に現地調査基単身赴任を言い渡されたのだった。

「まぁ、鬼はまだ生者だから手は出せないですけど」

そう独り言を呟いた時だった。

「あの！！！」

肩を掴まれた
振り向くと、市松柄の羽織と黒い学生服のような服を着た木箱を背負った額に傷のある少年だった。

「鬼殺隊」

頭の中にその名前が浮かんだ

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