嘘の上塗り ページ10
優斗 「あれ？
はしもっちゃん
呼んだんじゃないの？」
あ...
忘れてた
本当は戻って呼んでこなきゃなんだろうけど
でも、何故かあの教室に戻りたくなかった
瑞稀 「なんか、他の人と帰るみたい」
そう俺が言えば、
優斗 「そうなの？珍しいね」
素直に信じてしまう優斗
嘘をついてしまった罪悪感と、
2人きりになれる嬉しさが混ざって
なんとも言えない気持ちになる
優斗 「じゃ、帰ろ〜」
でも、喋っているとそんなことも忘れて楽しくなる
このままずっとこうしてたいな、なんて
俺たちだけの世界にならないかなとか
ベタなことを考えてみたりする
しばらく歩いていると、不意に優斗が止まった
瑞稀 「優斗？」
俺の呼びかけには答えずに、どこか遠くの方を
ぼーっと見ていた
そちらを向けば、、
遠くて何をしているかははっきり見えないが、
蒼弥と浮所がくっついているのが見えた
なんでこんな時に運悪く、と思ったけど
その考えはすぐに変わった
優斗 「ねぇ、瑞稀...あの2人って...」
震える声で、俺の方を見ずに言う
その顔は見たくないほど傷ついていて
それと同時に息を呑むほど綺麗だった
...もう自分を抑えられない
瑞稀 「蒼弥と浮所でしょ、付き合ってるらしいよ」
まるで優斗の気持ちなんて
知らないふりをしながら嘘をつく
優斗 「ほん、と、、？」
瑞稀 「本当」
優斗 「嘘じゃなくて...？」
瑞稀 「うん」
なんでこんな時に限ってすぐ信じてくれないんだよ
さっさと信じちゃえばいいのに
優斗 「そっか...」
やっと顔を下ろした優斗の瞳には涙が浮かんでいて
それがツーっと頬を流れてゆく
それがポタッと道路に落ちて、染みをつくった
瑞稀 「優斗...」
俺が声をかけると、はっとしたような顔になり
無理やり笑顔を作った
道路に落ちた涙を踏んづけて、
まるで何もなかったかのように振る舞う
優斗 「なんでもないよ、行こっか」
その顔と仕草が痛々しい
瑞稀 「...嘘ばっかり
俺の胸、貸すから泣けよ」
優斗 「...じゃあ、そうしようかな」
そう言って俺の顔に胸を埋める優斗
風で髪の毛がサラサラとなびき、優しい匂いがする
しばらくそうしていると、背中に手が回ってきて
ぎゅうっと抱きしめられた
優斗 「...っ、ぐすっ」
背中を優しくトントンと叩くと、顔を上げた
優斗 「ありがとう、瑞稀」
瑞稀 「...うん」
泣かせたのは俺なのに、慰めてるのも俺
嘘の上塗りを繰り返して
糸がどんどん歪に絡まってゆく
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soya._.soya(プロフ) - ゆらゆさん» 返信めちゃくちゃ遅くなってごめんなさい...！すごい嬉しいです！これからも頑張ります！！ (2022年1月10日 8時) (
レス) @page31 id: f139f64694 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらゆ(プロフ) - コメント失礼します。まだ登場人物の所しか見てないですが、この時点で凄い好きです、、、主様のお話は、全部見させて頂いていて、全部私のどタイプです、、これからも頑張ってください！ (2021年8月2日 3時) (レス) id: 0f88a61506 (このIDを非表示/違反報告)
soya._.soya(プロフ) - 都真渡@低浮上気味さん» そんな風に言っていただけてとても嬉しいです...！ 更新は少し遅いかもしれませんが、これからも頑張ります！ (2021年4月11日 13時) (レス) id: f139f64694 (このIDを非表示/違反報告)
都真渡@低浮上気味(プロフ) - コメント失礼します。この作品、今日初めて拝見させて頂いたのですが、とても面白くて時間を忘れて読んでしまいました(笑)これからも、楽しみに待っています！ (2021年4月11日 13時) (レス) id: b232525f2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：soya._.soya | 作成日時：2021年3月11日 17時
