怯えはない ページ7
「た、大将、真名って…」
「んー。薬研も次からそっちで呼んでなー」
薬研が手前の頬から手を離した。
「なんで、たいしょう…」
「あのねー、手前はお前らになら神隠しされても別に良いの」
だって大好きだから。大事だから。大切だから。
裏切られても嫌いになれなかった手前って多分バカなんだろうな。
「死ぬんならお前らの主として死にたいしー」
「…神隠しなんて、絶対しない。約束する」
両手をぎゅっと握られて、薬研は少し笑った。これが噂のイケショタか。惚れる。
こんのすけがとことこ近づいてきた。
「A様…。こんのすけめは不甲斐ないです…。お守りすると言っておきながら気絶してしまいました…」
「良いって。にしても他の刀に殺されたりしないかなー。大丈夫かなー手前」
長谷部とか、まんばとか。今剣や鶴丸あたりも怖いなー。三日月もやだ。
…あ。あと清光や安定も。
「大丈夫だ、大将。今度こそ、絶対に守る」
「へへ、ホント？じゃあ守られちゃおっと」
頼もしいなぁ。
「…あの、大将？…そのかわり、と言ってはあれなんだが…いち兄たちを、手入れしてくれないか…？」
「一期たち栗田口を？…確か薬研入れて十四振り揃ってたよね」
…乱によく髪の毛を結んでもらったなぁ。今はもう切ってしまったけれど。
短くなった髪の毛に触れて、少し苦笑した。工作用のハサミで結構雑に切ったから毛先ガタガタだし、乱に怒られっかも…。怒ると怖いんだよアイツ。顔可愛いのに。怒るなら可愛く怒れよ。
「…それに、他の旦那たちも…。皆出陣でボロボロなんだ。折れかけの重症だっている」
…手入れする前に殺される気がする。
でも、それでも、手前が殺されるとしても。
「…やれるだけ、やってみる。…一番重症の刀たちのところに連れてってくれるー？」
やっぱ好きなんだよなぁ。皆がどれだけ手前を嫌いでも、手前は多分一生好きでいる。
手前がゼロから作った本丸。見習いさんが横から入って盗っていった、大切な手前の本丸と刀剣男士たち。
助けてあげられるなら、手前が役に立てるんなら。…どうなっても、別に良いか。
ズキズキ痛む頭には気がつかないふりをして立ち上がる。
「大将…！ありがとう！」
「当然…。手前は腐ってもここの主だしー」
「こんのすけめは政府に少し行って参ります！ご武運をお祈りしております」
「ん」
こんのすけを見届け、薬研に腕を引かれて本丸の中へと踏み込んだ。
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碧 - 面白かったです！御体に無理がないように頑張ってください！ (4月13日 11時) (
レス) id: 75384074dc (このIDを非表示/違反報告)
？？？ - 更新楽しみにまってます。 (3月28日 18時) (レス) @page17 id: 66c9a050dc (このIDを非表示/違反報告)
天照(プロフ) - 面白かったです❗️更新楽しみに待ってます！ (1月4日 23時) (レス) @page7 id: aa210f3daf (このIDを非表示/違反報告)
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