誤解はない ページ17
あ、…。やっべー…。
ばっと角に体を隠し、ダラダラ垂れる冷や汗を拭う。やばいやばい…。勘違いされてるじゃん百パー。えっこれ手前が悪い…よねッ！なんか言ってから出てくれば良かった…。
一人悶々としている間にも、皆の会話は進んでいく。
「ねぇ、…なんで？俺たち、ただ一度主に会いたかっただけなのに…」
清光が泣きそうな声で呟いて、襖に額を押し付けた。ごめん、でもこの雰囲気でどう出てったら良いか分かんない…。
「だから…。だから言ったじゃんっ、薬研！また捨てられるって！もう主さんはボクたちが嫌いなんだって！！」
わっ、と声を上げて泣き崩れる乱を、薬研が呆然と見つめている。違うって、嫌いじゃないんだよぉお…。
「…あはは、もう生きる意味なんてないじゃないか」
「…兄者ッ…」
泣きながら天を見上げて笑う髭切の手を、膝丸がそっと握った。ダメだ、ちゃんと話さないと。出ていって、皆にちゃんと説明しなきゃ。
す、と廊下に足を踏み出した。
「、ぁのっ」
勇気とありったけの根性を振り絞って、声を上げた。一番手前側にいたにっかりの袖をきゅっと掴む。
「、…！？」
すすり泣きも嗚咽も全てが急に静かになって、
無数の瞳が手前を見つめた。そんな見ないでよ、緊張する…。
「す、捨ててないからっ！それに、これから捨てるつもりもないから！」
開いた片手を胸の前で握りしめて、泣き止んでくれますようにって思いながら声を張り上げる。
「ぁ、…主さッ…！」
「うぎゅッ！？」
乱がものすごい勢いで飛びついてきて、巻き込まれるようにして地面に尻もちをつく。痛い…。
「みだ、乱…痛いってー、主折れちゃうから力緩めて…」
胸回りをきつく締める乱の腕を優しく叩いて力を抜くように促すと、少しだけ息がしやすくなった。でもまだ苦しい…。
急に体が宙に浮く。
「主…主なのか？」
オレンジ色のツリ目と目があって、岩融に持ち上げられたのだと理解する。岩融、皆と比べて傷が少ない。やっぱ大きいからなのかな。良いなー手前も身長欲しーなー。
岩融の首に抱きつき、昔っから呼んでいたあだ名で呼んであげた。
「ん。ただいま、いわとー」
「…！！主…待っていたぞ…！」
少し強めに抱きしめられて、思わず笑みが漏れる。くすぐったいなぁ。
「ぁる、…主」
「ぁるじさまぁ…ぐすっ」
刀剣達は皆また泣き出してしまって、うちの本丸には泣き虫がたくさんいるんだなぁと苦笑した。
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碧 - 面白かったです！御体に無理がないように頑張ってください！ (4月13日 11時) (
レス) id: 75384074dc (このIDを非表示/違反報告)
？？？ - 更新楽しみにまってます。 (3月28日 18時) (レス) @page17 id: 66c9a050dc (このIDを非表示/違反報告)
天照(プロフ) - 面白かったです❗️更新楽しみに待ってます！ (1月4日 23時) (レス) @page7 id: aa210f3daf (このIDを非表示/違反報告)
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