希望はない ページ15
そっと大広間の襖に手をかけ、耳をくっつけて中の会話を聞く。
「このままでいるのは嫌なんだ。自分たちのしたことを謝って、主が下す罰を受け入れたい。たとえそれが刀解でも、刀剣破壊でも」
「それは分かってるさ。でも今じゃない。大将の気が少しでも変わる可能性にかけてみようと言っているんだ」
光の悲しげな声に、薬研が諭すような言い方で返した。ねぇ待って本当に刀解しないからね？刀剣破壊もしないからね？前の審神者たちどんなこと吹き込んだんだよ。
「…そんな、主を利用するような真似はしたくない…」
「…でもそうでもしなきゃまた主に捨てられるかもしれないじゃん」
小夜の泣きそうな声と清光の押し殺したような声に、大広間が静まる。
…うーん気が変わるも何も最初っから捨てる気なんてないんだけれども。これ手前入っていいやつ？それともダメなやつ？
えーい当たって砕けろ。
半分寝起きテンションで襖をそっと開けた。
…あっ無理だ。ものすごい血の匂いがする。吐きそう。
小さく部屋の中を覗くと、乾いた血がまず目に入った。壁一面に血、血、血。優しい月色だったはずの壁は赤茶色になっていて、障子はビリビリに破れている。
皆、傷が酷い。服なんてボロボロだし、長髪の刀たちは皆髪の毛を斬られている。あぁあ、小狐のもふもふっ毛がぁ…。歌仙の姿はとても雅と言えるもんじゃないし、清光もあれだけオシャレ好きだったのに今じゃ見ていて痛々しいだけだ。
…どうしよ。こんな腹ペコじゃロクな手入れできないし、資源や手伝い札だって残ってるかどうか分からない。でも皆がこんなに怪我してるのに、手入れしなきゃいけないのに…。
…とりあえず食材買いに行こう。
そーっと大広間を離れて、審神者部屋に戻った。寝巻きを脱いできれいにたたみ、審神者だった時の着物が押し入れにあったのでそれを着る。二年前のなのにぴったり入った。なんでこんなに身長伸びないんだろ。遺伝子呪う。
あまり音を立てないようにしながら玄関に向かった。昔こっそり忍び出した時のこと思い出すなぁ。結局バレてお説教食らったけど。
下駄を履き、外に出る。んー、空気うま。
えーっと、手前、刀の皆、鳴狐のお供とこんのすけ…。四十八人と二匹分か。
持てる気がしないけどまぁ良いか。良くないわ。
一回現世に戻って政府の皆さんに食材くれるよう頼むかぁ。
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碧 - 面白かったです！御体に無理がないように頑張ってください！ (4月13日 11時) (
レス) id: 75384074dc (このIDを非表示/違反報告)
？？？ - 更新楽しみにまってます。 (3月28日 18時) (レス) @page17 id: 66c9a050dc (このIDを非表示/違反報告)
天照(プロフ) - 面白かったです❗️更新楽しみに待ってます！ (1月4日 23時) (レス) @page7 id: aa210f3daf (このIDを非表示/違反報告)
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