運はない ページ13
体が軽い。
ただどこまでも果てしなく続く真っ白な空間に、ああ今手前は夢を見ているのかと実感した。明晰夢ってやつか。見るの始めて。
きょろきょろ辺りを見回していると、不意に声が聞こえた。
『主ー！』
『ちょ、鶴さん！声が大きいって！』
たた、と鶴丸と光忠が駆け寄ってくる。ぶつかる、と思って咄嗟に目を閉じたが、予想していた衝撃は来なかった。
そっ、と目を開けると、そこにはまた真っ白な空間のみが広がっていた。
『けほ、…鶴、光…、お見舞い来てくれたの？…ありがと、っげほッ…！』
『あっこら大将！寝てろ！』
後ろから声が聞こえて振り返った。
あ、…昔の手前だ。しょっちゅう熱を出しては薬研に看病されて、お説教を食らっていたっけ。
…懐かしいなぁ。
薬研に布団へと連れ戻される手前に、思わず手を伸ばした。する、と手は手前の体を通り抜けていく。流石夢。なんでもありじゃん。
ふわり、と急に景色が移り変わる。
『雅じゃないね、全く…』
『うー、…良いもん別に』
『ほら、髪を整えてあげるからおいで』
『！ん、いく』
あー、…あれ、いつだっけ。手前が鶴丸の落とし穴に落っこちて、泥だらけになって拗ねてた時だ。
まだ十一歳くらいかな？手前可愛い〜。…やっべ乱か清光みたいなこと言っちゃった。
…この頃はまだ良かったよなぁ、ちゃんと色がついてて。
ゆっくりと、真っ白な空間が黒ずんでいく。
『主、なんで見習いにこんな嫌がらせすんのさ』
『ちょっと最低だよ、主さん』
『…見損なった』
『そんなヤツだとは思ってなかったぜ』
清光も、蛍丸も、伽羅も、鶴も。
結構酷いな、今考えてみれば。…いや結構どころかめっちゃ酷いな、うん。
白黒でところどころノイズが入った映像が、手前を取り囲む。
『出ていってよ、アンタみたいな人間いらない』
『今日から見習いが俺たちの主だ』
『ねーぇ、かぐやさん？いい加減諦めて出てって、ね？ここの刀剣男士はみーんな萌歌の方が良いって言ってるの。貴方は用済みなんだよ』
この直後だったなぁ、三日月に斬られたの。なんだっけ、…見習いさんの服を全部ズタズタにしたからだっけ？忘れちゃった。
でも、皆の顔がすっごく怖かったのと。
後ろで見習いさんが笑ってたのと。
体も心も壊れた音がしたのだけは良く覚えてるなぁ。
なんでだろ。
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碧 - 面白かったです！御体に無理がないように頑張ってください！ (4月13日 11時) (
レス) id: 75384074dc (このIDを非表示/違反報告)
？？？ - 更新楽しみにまってます。 (3月28日 18時) (レス) @page17 id: 66c9a050dc (このIDを非表示/違反報告)
天照(プロフ) - 面白かったです❗️更新楽しみに待ってます！ (1月4日 23時) (レス) @page7 id: aa210f3daf (このIDを非表示/違反報告)
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