ヒトリゴト。 (ページ27)

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八乙女side

｢いのちゃん、ただいま｣

やっと終わった。
ハードなスケジュールは1週間と少し、今日で終わった。

明日というか、今日からは3連休。
やっといのちゃんとゆっくり過ごせる。

それを伝えればきっといのちゃんは必死に開けようとしていたその目を見開いて喜ぶだろう。

その姿を想像して少しうきうきした気持ちで帰ってきたけど、いつもならすぐに聞こえる｢おかえり｣の声が聞こえなかった。

まぁ、いのちゃんも俺と同じように仕事をしているのだからさすがに疲れが溜まったのだろう。
無理はしてほしくないから寝ているならそれでいい。

とも思ったけど、リビングは電気もテレビもつきっぱなし。
だけど、起きてる気配もなくて。

お風呂、トイレ、玄関、寝室全て見たけどどこにもいなくて。靴もあるけら出かけたわけじゃないし。

何かに巻き込まれた……？

良くない考えが頭をよぎった時に、あと1つ覗いていない部屋があることを思い出した。

衣装部屋。

いのちゃんも俺もそこまで服は多い方ではないけど、ウォークインクローゼットもあるし芸能人っぽいねってノリで作った部屋。

カチャリとドアを開ければ開きっぱなしのクローゼット、開けっ放しの俺の衣装タンス。

そしてその前に広がるたくさんの俺の服とその真ん中で俺のお気に入りのTシャツを抱きしめて、頬に涙のあとをつけて眠るいのちゃん。

寂しい思いさせちゃったね。
ごめんね。

｢…あーあ、服がシワだらけだ笑笑｣

そんなことどうでもいいけど。

だっていのちゃん可愛いんだもん。

｢ほんと、すきだなぁ…｣

少し離れただけ、それの2倍も3倍も好きが溢れる。
せっかくだからパシャリと1枚カメラに収めて、周りの服をどけて、

可愛い可愛いいのちゃんを包み込んで、眠りについた。

end