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「はー……上も大概こき使ってくれるよね。」
車の中で目隠しを外しながらゆっくり息を吐く。こき使われているのは昔から同じだが、こうも立て続けに働かされると嫌になる。
「大丈夫?」
「明音〜……悪いけど途中のコンビニでチョコ買ってきて……」
「了解!ミルクチョコ?ホワイト?」
「んー……ホワイトチョコの気分。」
目隠しをくるくると回しながらそう答えると、明音はコンビニに車を停めて中へと入っていく。その間に報告書を取り出して簡単にまとめていく。
「あ"ー……たまには休み欲しい〜……」
とはいえ、繁忙期を間近に備えた呪術界。そう簡単に休みを貰えるはずもなく、Aはまた大きなため息をついた。
「A〜買ってきたよ〜」
「ありがと〜」
「このままもう家まで送っていっていい?」
「んー……そうしようかな。」
明音から受け取ったチョコを開けて一粒口へと運ぶ。疲れた体にその甘さが染み渡るような気がして、ふぅ……とゆっくり肩の力を抜いた。
「あー……この前のテストの採点もしなきゃ……」
「教師も大変だね……」
術師と教職の両立はそう簡単なものでは無い。五条はこれをしながら自分を育てていたのか……と感心していたが、よくよく考えてみれば周りに押し付けていたような気がしてその感心はあっという間に消え去った。
「お疲れ様。ゆっくり休んでね。」
「ありがと〜」
家の前で明音に手を振り、報告書の束を持ってマンションのエレベーターに乗り込む。ぶんぶんと目隠しを振り回しながら玄関を開けると、ただいまーと小さく呟けば、リビングの方から伏黒がひょっこりと顔を出す。
「おかえり。」
「あれ、帰ってきてたの?」
「あぁ。飯温め直すから先風呂はいってこい。」
はーい、と緩く返事をして、書類を部屋に置いてお風呂場へと向かう。お風呂も沸かしてくれてご飯も作ってくれてなんてできた旦那さんだとつくづく思う。
「おい、髪拭けよ。」
「拭いて〜」
「はぁ……拭いてやるから早く食っちまえよ。」
ダイニングの椅子に座り手を合わせて生姜焼きを齧る。その間に、伏黒は彼女の頭をわしゃわしゃと拭いて丁寧に髪を乾かす。それが終わる頃には彼女も食べ終わり、再び手を合わせて食器を片付けた。
「今日はありがとね〜」
「お前忙しいからこれくらいはな。片付け手伝うから終わったら寝るぞ。」
「はーい。」
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ぷぅ(プロフ) - 凄く面白くて一気に全部読んじゃいました!!今後の更新についての作品が見れていないので、どう言う状況なのか分かりませんが、続きが更新されるのを楽しみに待っています(^^) (7月17日 0時) (レス) @page18 id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
thmrt1214(プロフ) - とても素敵でおもしろ作品だと思います!続きを待ってます! (2022年4月5日 20時) (レス) id: c58d97a9b4 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - アンチコメなどは気にせずに頑張ってください (2022年3月10日 21時) (レス) id: 48f3bd005d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな☆(プロフ) - 私この作品好きです!無理のないよう頑張ってください!待ってます! (2021年12月3日 19時) (レス) @page16 id: ccfc63a9dd (このIDを非表示/違反報告)
もやし - いっつも見てます!体壊さない程度に頑張って下さい!!応援してます!! (2021年8月19日 17時) (レス) id: e2e99622db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年8月12日 1時