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「今日の伏黒……なんかカリカリしてね?」
虎杖の視線の先には、明らかに不機嫌な伏黒の姿があった。任務を終えて高専に出勤してきた瞬間から不機嫌なのは丸わかりだった。こういう時は大抵A絡みで、喧嘩をしたのか早く家に帰りたいかの二択だった。
話しかけたくねぇ〜……なんて言いながらも、パンダは伏黒の肩をちょんちょんとつついた。
「恵ぃ〜なんでそんな機嫌悪いんだよ。」
「……今日Aの体調が悪いんで早く帰りたいんですよ。」
「あ〜そろそろ生理だもんね。」
「なんであんたが知ってんだよ!!!!」
目の前でポッキーを食べていた五条の言葉に、机を思いっきり叩いて立ち上がる伏黒をパンダが宥める。普通こういう時オブラートに包んだりそもそも隠したりするのが常識なわけだが、彼にそんな常識があるかと聞かれればそうではない。
デリカシーをどこかに丸ごと落としてきたような男なのだから。
「悟のデリカシーの無さはその年になっても健在なんだな。」
「その歳、って言わないでよそれなりに傷つくんだけど。」
「五条さん四捨五入したらもう40だしね。」
「悠仁って実は僕のこと嫌いだね????」
「とにかく、俺早く帰りたいんで話しかけないでください。」
そう言ってデスクに向き直ると、パソコンに報告内容を打ち込んでいく。いつもより強く激しいタイピングに、怒りの度合いが表されているようだ。それにはさすがの五条も引き気味で、「うっわ……」なんて声を漏らしながら笑っている。
キーボードを叩きながらも、伏黒の頭の中にはAのことでいっぱいだった。あれを買って、それを買って、夜には食べやすいものを作ってやって。薬のストックはあっただろうか。今の時期カイロが売っていることはほとんどないから湯たんぽの準備もしないと。
「あ"〜〜〜……!!!」
とうとうイライラの限界がやってきた伏黒は何度も同じ場所を指先で叩き続ける。wの文字が連続して並んでいく画面に、虎杖はクラクラと目を回した。
「……伏黒、もう俺がするから帰ったら?」
「んな事したらAが罪悪感感じちまうだろうが!!!」
帰りたい。でも自分のせいで、と罪悪感を与えてしまうのは嫌だ。伏黒はwの文字を消して、目をかっぴらいた状態でまた文字を打つ。
虎杖達からしてみれば今すぐにでもご帰宅願いたい状況である。
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ぷぅ(プロフ) - 凄く面白くて一気に全部読んじゃいました!!今後の更新についての作品が見れていないので、どう言う状況なのか分かりませんが、続きが更新されるのを楽しみに待っています(^^) (7月17日 0時) (レス) @page18 id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
thmrt1214(プロフ) - とても素敵でおもしろ作品だと思います!続きを待ってます! (2022年4月5日 20時) (レス) id: c58d97a9b4 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - アンチコメなどは気にせずに頑張ってください (2022年3月10日 21時) (レス) id: 48f3bd005d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな☆(プロフ) - 私この作品好きです!無理のないよう頑張ってください!待ってます! (2021年12月3日 19時) (レス) @page16 id: ccfc63a9dd (このIDを非表示/違反報告)
もやし - いっつも見てます!体壊さない程度に頑張って下さい!!応援してます!! (2021年8月19日 17時) (レス) id: e2e99622db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年8月12日 1時