捌話 ページ10
『うわぁ…！』
近くのカフェの店内。
目の前に置かれた皿に、Aの顔がぱああっと輝く。
そのまま耳まで飛び出してしまわないかと少しひやひやしながらそれを眺めた。
『洋菓子！』
｢ケーキな｣
『けーき！』
いただきます！と行儀よく手を合わせ、イチゴのショートケーキにフォークを刺す。
そしてそれを口に入れた瞬間、彼女の顔がふわりと綻んだ。
『あまーい！美味しい〜！』
…こいつ本当にうまそうに食べるよなぁ…
こっちまで幸せな気分になってくる。
見てるだけで十分で、自分の頼んだコーヒーを一口含む。
『カステラは食べたことがありますけど、ケーキは初めてです！零様も作れるのですか？』
｢そうだな、一応は。バイト始めたらレシピとかも考えるだろうし、家でも作るから試食は任せたぞ｣
『本当ですか！？喜んで！』
料理はつい作りすぎてしまうことも多いし、家で一緒に食べてくれる人がいるのは素直に嬉しい。
特にAはべた褒めしながら食べてくれるし。
『和菓子は大好きでしたけど、洋菓子もこんなに美味しかったんですね！』
｢和菓子とかってどこで食べてきたんだ？山にはないだろ｣
『昔はよく人に化けてそういうのを買ってきたりしたんですよ〜』
ふーん、と頷く。
じゃあいなり寿司もそうなのか…と思えば、Aはちょうどそれについても触れた。
『あとは供えてくださる方がいらっしゃったりとか…
いなり寿司は昔、時々作って持ってきて下さる方がいたんです。少し不格好なんですけど、それがとっても美味しくて…』
｢へえ…｣
『もうその方はとっくに亡くなったんですけどね』
一瞬、Aの顔に影が落ちた。
その顔は初めて見るもので、少しだけ驚く。
しかしAはすぐに明るく戻って続けた。
『あとお酒とかもよく頂きました！』
｢は！？未成年飲酒はダメだろ！｣
『え！？20歳なんてとっくの昔に過ぎ去りましたけど！？』
…そういえばそうだった。
見た目が高校生だからつい反射的に…
黙った俺に、Aはクスクスと笑った。
『日本酒は美味しいですよね〜！』
｢わかる｣
『今度一緒に飲みましょうね！』
｢…未成年の格好をした奴に呑ませるのか…｣
自分の中の何かが許さないが、いやしかし年齢どうこうの前にそもそも妖怪なのだ。
わかってはいるものの飲み込めない俺にAは苦笑する。
そして急にハッと時計を見て言った。
『そうだ零様！山に寄っても構いませんか？』
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やっち(プロフ) - 更新お待ちしてます (2022年4月24日 5時) (
レス) @page26 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ベリナさん» わ〜！ありがとうございます…！！ずっと更新止まっててすみません！中途半端なところですしまた書きますね！！優しいお言葉、励みになります！本当にありがとうございます！！ (2019年2月23日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ベリナさん» わ〜！ありがとうございます…！！ずっと更新止まっててすみません！中途半端なところですしまた書きますね！！優しいお言葉、励みになります！本当にありがとうございます！！ (2019年2月23日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
ベリナ(プロフ) - この作品もう更新はされないのでしょうか、、、？とても好きな作品なのでいつまでも心待ちにしております (2019年2月22日 21時) (レス) id: d785e007a4 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - いちごって美味しいよねさん» こんにちは！いつもありがとうございます〜！こちらもよろしくして頂けると嬉しいです！！ (2018年11月16日 7時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：立夏
| 作成日時：2018年10月24日 21時
