十六夜奇病病棟【小説】 (ページ22)

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ある夢の話（トウラsize）ページ22

「ねえ？トウラ？明日もたくさん遊ぼうねー！」

「わ、分かった…」

そんな二人の子供の幸せはすぐに壊れてしまった。

村が焼ける匂い、人が○んでいく景色

やだっやだ○○ー！！

そう叫んだところで夢は終わってしまった

頬が濡れていたので触ってみると真っ黒の液体で手が染まっていた。

彼はアヤナキトウラ

十六夜奇病病棟に入院している

奇病患者だ。

病名は暗涙黒蝶病

謎の黒い蝶を見てしまったことで起こった。

近い未来彼は喜怒哀楽の哀を失ってしまう。

彼はずいぶん泣いたようで服、ベッドですら真っ黒に染まっていた。

彼が発病したのは1年前

しかし病院にきたのは2ヶ月前だ

理由は…親に殴られ、蹴られ…まぁいわゆる家庭内暴力というものをされていたからだ。

二ヶ月前、親の目を盗みやっと外に出た時にここへ来たのだ

彼はオッドアイそのせいで、イジメ、虐待を続けられてきた。

何度も助けを求めたがどこにも彼を味方する者はいなかった

そう、ただ一人以外

同じ村に住む柚羽(ゆわ)
たった1人の魔女の血を継ぐ女の子だ

そんな女の子も亡くなった。

大人の不注意が原因の火事だ。

村の人を案内した際火に囲まれ…○んでしまった

ただ一人心を許せる人間を失ったトウラは無表情で一人でいることがほとんどになった。

そんな過去の事を考えると、涙が出て、気が付けば、床まで真っ黒の涙が溢れていた。