三十四巻 ページ34
『トントンさん………ありがとうございます』
疲れていたはずなのに私に協力してくれた優しいトントンさんに小さくお礼を言いながら廊下を走っていた。
少し離れた場所でしゃがみながら、小さく息を整える。
『………ん？』
すると、私はあることに気付いてしまった。
『………制限時間決まってないよね？』
ということは、私が誰かに捕まるまでこのゲームは終わらない。
ぁぁぁ……あのときトントンさんに抱きしめて貰えばよかった………。
「あの……」
『わっ！？』
いきなり耳元から聞こえてきた声に驚いて顔を上げると、エーミールさんがしゃがみながら私の様子を伺っていた。
em「大丈夫ですか？？」
『は、はい。ありがとうございます………』
無理やり口角を上げてわざとらしくははは……と笑うと、「それなら良かったです」と優しく微笑みかけてくれた。
………そうだ。エーミールさんもとても優しい方だった。
きっと彼なら嫌なお願い事は言ってこないだろう。
そう確信した私は、はじけるような笑顔でエーミールさんに近づいた。
『エーミールさん！私のことを抱きしめてくれませんか？』
両手を広げながらそう言うと、彼はワタワタと慌てて顔を真っ赤にしていた。
em「えっと………。す、すみません。抱きしめてあげたいのはやまやまなんですが………」
『え？』
まさか断られるとは思ってなかったので目を見開く。
『なんでですか？？』
私がそう呟いた瞬間に、ぶわっと私の周りに何かが舞っていった。
『わっ！！』
その“何か”を手で掴んでみると、それは淡い桃色の桜の花びらだった。
『桜の花びら………？』
何故急に花びらが降ってきたのかわからず、エーミールさんに聞こうと前を向くと、そこは見慣れた部屋だった。
私が……初めてショッピさんに案内されて来た部屋。
そしてなぜかグルッペンさんがいた位置に私は座っている。
頭が追いつけなくて混乱している時、
gr「A」
低くて凛とした声が耳元に届いた。
先程のエーミールさんよりも近い距離。
ギギギギとぎこちなく頭を回転させると、金色の髪を揺らしている彼と目があった。
『グ、グルッペンさん………』
震えた声に、彼はとても嬉しそうに顔をほころばせる。
気がつくと私は腰に腕をがっちりと回されていた。
gr「俺の勝ちだな」
彼はそう言うと、狐のようなにやりと怪しい笑みを浮かべた。
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うどん(プロフ) - 彩音さん» ありがとうございますー！！！頑張って描いたので嬉しいです！最後までお付き合い頂きありがとうございます！ (2020年5月28日 1時) (
レス) id: a3779bcd2c (このIDを非表示/違反報告)
彩音(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても好みのお話でした〜！そして最後当たりのイラストうますぎる･･････ (2020年5月27日 6時) (レス) id: 5d687b4a81 (このIDを非表示/違反報告)
うどん(プロフ) - 眠猫さん» とても嬉しい限りでございます。最後まで読んでくださりありがとうございました！！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: a3779bcd2c (このIDを非表示/違反報告)
眠猫(プロフ) - 感動しました。少女の死んででも会いに行こうとするのなんてﾉω･､） ｳｩ･･完結おめとうございます！ (2020年5月23日 13時) (レス) id: 290d396106 (このIDを非表示/違反報告)
うどん(プロフ) - ロルくんさん» ありがとうございます！！頑張ります！！！！ (2020年5月2日 16時) (レス) id: a3779bcd2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うどん | 作成日時：2019年10月2日 21時
