二十一巻 ページ21
『………っあ……ゾムさん…………』
やばい。
よりにもよって厄介な人に見つかってしまった。
私は逃げようと必死にもがくが、ゾムさんはさらに強く抱きしめ、身動きがとれなくなる。
zm「………なぁ、A。逃げれるとでも思ったん？」
ぼそりと耳元から聞こえる声に背筋が凍る。
なんで私が逃げようとしていたことを知ってるの？
『……いや、お散歩がしたかっただけですよ？？』
ばれないようにできるだけ明るい声で話す。
そしてゆっくりと後ろを振り向くと、きょとんとした顔のゾムさんと目があった。
zm「……なーんや！！そうやったんや！！」
にぱっと明るい笑顔で、私にまわしていた腕を離すゾムさん。
なんとかバレていないようなので安堵する。
『いきなり抱きついてくるからびっくりしましたよー』
zm「……ごめんな！！てか、“お散歩”って言い方可愛いわー！！」
そう言うと彼は私の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
まだ、ゾムさんは話し慣れていないのでどのような対応をしたらいいのか分からない。
とりあえず逃げるのは諦めておいたほうがいいだろう。
『……次からはちゃんとグルッペンさんに伝えてからにしますね！では！！』
そう言い私は館に戻ろうと踵を返す。
すると、
ぐるりと体が180度回転した。
『……え』
なにが起きたのか理解できず混乱していると、後ろにあった木に押さえつけられる。
ゆっくりと上を見上げるとさっきの可愛らしい笑顔とは裏腹に獣のような目つきで口角が以上なくらい上がっている彼と目があった。
―はやく逃げなきゃ―
その言葉が脳裏に浮かぶが、足が思うように動かない。
zm「……なぁ」
ガタガタと震えている私に彼は静かに呼びかける。
zm「俺って何の妖怪か知ってる？」
『……知りません』
zm「俺な、“送り狼”やねん」
『送り狼……？』
zm「そう。気にいったご主人様になんかあったら怖いからついていってるねん」
にこりと笑う彼に私は『え』と言葉を漏らす。
『ゾ、ゾムさんの言ってるご主人様って……グルッペンさんですよね？』
zm「んー……ヒミツ！！！」
ああ、最悪だ。
きっとゾムさんの言ってるご主人様は私のことだろう。
ということは……彼は私が逃げようとしていたことを知っている。
『…………』
彼の言葉に絶望する。
zm「ふはっ………何その顔。むっちゃかわいいんやけど」
幸せそうにそう呟く彼に恐怖を覚えた。
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うどん(プロフ) - 彩音さん» ありがとうございますー！！！頑張って描いたので嬉しいです！最後までお付き合い頂きありがとうございます！ (2020年5月28日 1時) (
レス) id: a3779bcd2c (このIDを非表示/違反報告)
彩音(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても好みのお話でした〜！そして最後当たりのイラストうますぎる･･････ (2020年5月27日 6時) (レス) id: 5d687b4a81 (このIDを非表示/違反報告)
うどん(プロフ) - 眠猫さん» とても嬉しい限りでございます。最後まで読んでくださりありがとうございました！！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: a3779bcd2c (このIDを非表示/違反報告)
眠猫(プロフ) - 感動しました。少女の死んででも会いに行こうとするのなんてﾉω･､） ｳｩ･･完結おめとうございます！ (2020年5月23日 13時) (レス) id: 290d396106 (このIDを非表示/違反報告)
うどん(プロフ) - ロルくんさん» ありがとうございます！！頑張ります！！！！ (2020年5月2日 16時) (レス) id: a3779bcd2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うどん | 作成日時：2019年10月2日 21時
