十七巻 ページ17
『朝食すっごい豪華だったなぁ……』
量が多すぎて食べきれなかったがとても美味しそうな料理が並んでいた。
いったい誰か作ったんだろうと思い鬱さんに聞いてみたが、お得意の作り笑いをしただけだった。
今回は私の部屋の位置を覚えるということで一人で行動している。
なんだか一人になった瞬間得体のしれない恐怖に包まれている気がする。
得体のしれない恐怖に怯えて早歩きで歩いていると一つの部屋が目に入った。
同じ柄の襖の中に一つだけ違う柄の襖。
その襖が気になり、私は吸い込まれるように襖に手をかけた。
その時、
「なにしてるん」
冷たく鋭い声が聞こえてきたかと思うと、私の視界は一瞬にして黒に染まった。
『わっ』
急いで覆いかぶさる手をどけて前を見ると、違う柄の襖は無くなっていた。
そのことに不思議に思いながらも目隠しをした相手を見ようとすると、そこにいたのはトントンさんだった。
意外な人物だったので目を見開いていると、トントンさんは静かに私の事を睨んだ。
その圧のある視線に思わず俯いてしまう。
tn「自分の部屋と食堂以外は入るなって言ったやろ」
『…はい。すみません』
でも違う柄の襖があるなんて覗いてくださいと言っているようなものじゃないか。
と言いたくなる気持ちをグッと堪えてトントンさんを見つめる。
そんな私を見るなりトントンさんは大きな溜息を漏らした。
tn「はぁ……ほんまグルさんに似てるわ」
『え？』
どこが似ているのだろうか。
少なくとも私の知っているグルッペンさんはこんなに怒られるような人ではない。
『グルッペンさんも怒られるんですか？』
tn「はぁ？そんなん日常茶飯事やわ」
この苛立っている顔を見るなり本当の事なんだろう。
知らなかった彼の一面を見られた気がして嬉しくなった。
笑いながらまた歩き始めると小さな段差につまずいてしまった。
『うわっ！！！』
tn「えっ！？ちょ」
受け身が取れるほどの運動神経はないので衝撃に耐えようと目をつむるが、私の体に痛みが来ることはなかった。
恐る恐る目を開けるとトントンさんが私の体を支えてくれていた。
焦った顔で私を支えているトントンさんの後ろには大きな翼のようなものが動いていた。
tn「……危なっかしい事すんなや！！びっくりするやろ！」
『ひっ………ご、ごめんなさい』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 567人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うどん(プロフ) - 彩音さん» ありがとうございますー！！！頑張って描いたので嬉しいです！最後までお付き合い頂きありがとうございます！ (2020年5月28日 1時) (
レス) id: a3779bcd2c (このIDを非表示/違反報告)
彩音(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても好みのお話でした〜！そして最後当たりのイラストうますぎる･･････ (2020年5月27日 6時) (レス) id: 5d687b4a81 (このIDを非表示/違反報告)
うどん(プロフ) - 眠猫さん» とても嬉しい限りでございます。最後まで読んでくださりありがとうございました！！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: a3779bcd2c (このIDを非表示/違反報告)
眠猫(プロフ) - 感動しました。少女の死んででも会いに行こうとするのなんてﾉω･､） ｳｩ･･完結おめとうございます！ (2020年5月23日 13時) (レス) id: 290d396106 (このIDを非表示/違反報告)
うどん(プロフ) - ロルくんさん» ありがとうございます！！頑張ります！！！！ (2020年5月2日 16時) (レス) id: a3779bcd2c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うどん | 作成日時：2019年10月2日 21時
