春の日 わたぬき 降谷さん�ぁ �桜の花びら様リクエスト＊ ページ6
零はやっぱり物知りだなあと感心してしまう。
すると零は私の心臓の辺りにそっと手を当てる。
「だからさ、綿と一緒にAのその変なキモチも抜いちゃおうか。劣等感？ かな。俺はこれからもAと恋人で居たいし、デートとかもしたいし」
「……なんか気を遣わせてしまってスミマセン」
「そういうのを抜こうって話。痛いの痛いの、飛んでいけ」
馬鹿にしてます!? と言おうとしてやめた。
だって零の眼差しはいたって真剣だった。『痛いの』っていうのもあながち間違いじゃないし。
「……ありがとうございます、あ、それにコート。嬉しいです」
「それはよかった」
脈が自然と早くなる。まだ零の手はそこにあった。
気づいているだろうか、この鼓動。
「……こんなうれしい誕生日は初めてです」
口からポロリ、とそんな言葉が出た。
今度は零が固まる番だった。「え」と少しだけ動揺したような声を漏らす。
「誕生日？ 今日が？」
「え、あ、はい……！ あ、決してエイプリールフールの嘘とかじゃないです」
はい、と口では言っているが言葉的に首をぶんぶん横に振り回してしまう。
そんな私がおかしいのか、零は笑いながら「もっと早く言ってくれればよかったのに」と言う。
「なんかエイプリールフールって思われるかなあって」
「思わないよ。だってAの事だもん。ちゃんと信じる」
沸騰前のお湯になった気分だ。何を言えばいいか、如何すればいいか分からず、視線を逸らした。
とにかく照れているのは自分でもわかる。今日一顔が熱い。……まあずっと熱いけれど。
「じゃあ、もう敬語なしだね？ ようやく同い年だし」
「はい！ じゃない、うん！」
零は目を細めて「でもなあ」と呟く。頭に「？」を浮かべると。
「誕生日プレゼントがコートだけはなんか個人的になあ」
「お高いですよ、充分！」
「敬語」
諌められた瞬間、零の顔がまた近づいた。
今度は目を閉じないでいると、零は私の顎をスッと掴んで――そのまま引き寄せた。
――昼間、頬にあたった感触が、今度は唇に。
「なしっていったでしょ？」
「え、あ、うん」
零は満足そうに笑う。
その笑顔につられて私も笑ったが、よく考えろ私……もしかしてナチュラルにキスされていた？
「そうだ、面白いプレゼントを思いついた」
――これから俺の家で甘い時間を過ごすっていうのはどうかな？
春の月に照らされた彼の笑顔は少しだけ怪しく、でも。
温かいものだった。
--
あとがきはボードにて！
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←春の日 わたぬき 降谷さん�� ＊桜の花びら様リクエスト＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 111人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イヲハ(プロフ) - 零音さん» ついでになってしまいますが、リクエストの誕生日の件了解いたしました。この度は大変失礼いたしました。コメントありがとうございました。無いように努めますが、今後このようなことがあればまた教えて下さると幸いです。 (2018年1月20日 2時) (
レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - 零音さん» 自分は着物と聞いていたので……。今wikipediaを確認したのですが、着物と書かれていました。ですが諸説あるのかもしれません。今回の話では『着物』ということにさせていただきます。紛らわしいたとえを使ってしまい申し訳ございません。 (2018年1月20日 2時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - 4月1日（わたぬき）の語源？？意味？は着物のワタではなく布団のワタを抜くからだったと思います (2018年1月20日 2時) (レス) id: 0fac29e216 (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - イヲハさん» お久しぶりです！赤井さんの誕生日は10月か11月頃でお願いします! (2018年1月17日 7時) (レス) id: 0fac29e216 (このIDを非表示/違反報告)
イヲハ(プロフ) - ももさん» リクエストありがとうございます！ 両方ともなのですが、夢主の気持ちはどちらに傾いている、という要望はありますか？ なければ私が勝手に決めても宜しいでしょうか……？ (2018年1月17日 4時) (レス) id: da7fe4e2aa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
