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『なんでふっか?』
「…ふは、揃いも揃って同じリアクションしないでよぉ。」
『え?なんて?』
急にボリュームを下げた佐久間の声ははっきりと俺の耳に届かなくて。
聞き返せば、ニコッと楽しそうに笑いながら首を横に振った。
「なんでもなぁい!だって照、ふっかのこと好きじゃん。」
…好きか嫌いかと言われれば勿論好きな部類ではある。
自分の命と同じくらい大切なメンバーだし、仕事の時はいつも傍にいてくれるし。
取材でもメンバーだけで過ごす時でもなんでもかんでも褒めてくれるし。
ちょっと可愛いし、なんといっても面白い。
でも、
『…佐久間が言うその「好き」とは違うと思う。』
「えーほんまぁ?」
傍にいる愉快な関西人の訛りがうつりつつある佐久間がそう言ってみせて首を傾げた。
『確かにふっかは可愛いしいい奴だけど。』
付け加えると、佐久間は今度は身体を横に倒してゆっくり背中を伸ばしている。
俺の話を聞いているというか、それを踏まえて何か考え事をするような表情。
「…ね、ふっかはかわいいよねえ。この前飲みに行ったとき酔っぱらっちゃってさ、赤ちゃんみたいだったよ。」
『ふーーん。』
「俺と翔太でやさしーく介抱してあげたし♡」
『…ガチで通報モンだなこれは。』
「ちょっとお、照じゃないんだから変なことするわけないじゃん。」
『俺だってしてねぇよ。まだ。』
「まだ???」
…まだってなんだ、まだって。
もういい。佐久間との会話を真剣に考えるだけ時間の無駄だということは分かってるから、深くは考えないようにする。
佐久間の方もそれ以上は言及する気がないらしく、ただ顔のニヤつきを抑えきれないままに立ち上がって今度はアキレス腱を伸ばしだした。
「ふっかも照のこと大好きなんだからふたりもそりゃあ楽しいよねぇ〜。」
いや、それが。
なんだかんだでひかるひかると俺の名前を呼んで、暇さえあれば仕事の話もプライベートの話もしていたふっかがちょっと最近、ツレない。
今日だってふっかに仕事の話をしに行った時も、用件を聞かれて相談事項を共有したところ、プイッと身体ごと逸らされてとっととどこかへ逃げられてしまった。
結果、今ふっかはラウールの傍で楽しそうに喋っていて、俺は佐久間とここにいるわけで。
『そのふっかだけどさ、最近様子がおかしいの。』
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作者名:雪 . | 作成日時:2022年5月5日 1時