検索窓
今日:4 hit、昨日:23 hit、合計:77,165 hit

# # # ページ18






「どうもこうも、好きにすればいいのに。」



『…え、好きに?』



「そー。触りたい放題じゃん。いいねぇ近距離は。」




ブツブツと呟いてまた愚痴が始まりそうな佐久間をよそに、“触りたい放題”の現実にかぁっと顔が赤くなるのが分かる。

…らしくないだろ。こんなことで動揺するなんて。



今日は体から熱出しすぎて風邪引きそうだ。




そもそも触りたい放題じゃねぇよ。同意がないとダメだって。


…同意があればいいのか?





『…無理、考えすぎたらキリないわしんどい。

ちょっと俺の家でふたりきりは何するか分かんないから佐久間も来てよ。お願い。』



「えっ、俺今晩は忙しいから無理!ごめんね!

てかだから何してもいいんだってば!」




逃げるように、すっくと佐久間が立ち上がる。

恨めしげに見上げれば、右手に持ったスマホを隠すようにポケットにしまう。
そういうコトかと察したくもないことを察してしまう自分が憎い。




『ちょ、まって佐久間、!』




俺の懇願を振り払い「俺、忙しいの!」と、歩き出す。

そこではたと何かを思い出したように振り向いて、




「あっ、そうだ!」




『…なに?』




何やらアドバイスでも貰えるのかと期待したが、佐久間はあいつと同じ、黒い瞳を細めて穏やかに言った。




「照さあ、ふっかのこと泣かせたら俺が怒るからね。」




……なんでそこだけガチトーンなんだよ。
こんな時だけ年上ぶられて、佐久間との、ふっかとの歳の差を否が応でも感じてしまう。



いつもなら文句を言うところなのに、今ばかりはその迫力に気圧されてしまった。



『…はい。』




半ば無理やり返事をすると、よし、と頷き、ニカリと笑う。




…ほんとにタチ悪い。三十路って怖い。


ご機嫌に食堂を去っていく小さな背中をただ見送ることしかできずにいた。






【END】

【エピローグ】 Side S→←# # #



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (206 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
332人がお気に入り
設定タグ:BL , snowman , いわふか   
作品ジャンル:タレント
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:雪 . | 作成日時:2022年5月5日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。