アイノカタチ Ki × F

ジュウゴ ページ15

「っ…ふじっ…」


F「…泣かないで」


微笑みながら俺の涙をそっと拭う藤ヶ谷は


今、どんな気持ちなんだろう 。




「 俺っ…俺っ…。 」


____ ごめん 。




その言葉は藤ヶ谷に遮られた 。



F「謝ろうとしてる？


謝らなくていいんだよ。



北山も俺も誰も悪くなんてない。


それに、これが運命だったんだよ。



偶然じゃなくて必然だったの」


そう告げた藤ヶ谷の瞳は


とてもとても強かった。





F「ほら、食べよ」


「…っ美味しそうだな」


F「だってここ北山が見つけたお店だもん」


初めてここに来たときの北山得意気だったな〜って


上を仰いで、また微笑む。




藤ヶ谷は、強い。


ううん。本当は強くなんかないよな。




俺が、俺との過去が


お前を強い人間にさせてしまった。





「…他の人は知らないのか？このこと」


F「渉は知ってるよ。


それから………」


言葉を濁す藤ヶ谷 。




F「…大倉くんも知ってる」


予想外の人物が飛び出て動揺する。


「え？大倉？ 」




F「さっきの女の子、優しい子だからね、


渉と大倉くんの記憶消さないでくれたんだ。



渉は、俺を支えてくれるように。


大倉くんは、北山を守ってくれるように」



…大倉は、俺の過去のこと一切言わなかった。


そう漏らした俺に


F「北山を混乱させないように、


北山を傷つけないように、


大倉くんの愛じゃないかな。」


穏やかな口調で続ける。





色んな人の愛に触れた今


俺はこれからどうすればいいんだろうか。




F「もう大倉くんの元に帰って、北山。


今まで通りでいいんだよ。全部全部」



俺の気持ちを見透かして


自分の気持ちには固く鍵をして


先回りして言う藤ヶ谷は









・









・









俺が愛していた人 。


俺を愛してくれている人 。

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