好きだ13 ページ14
及「あ!唄サン、こっちこっち〜!」
下に降りると及川がパイプ椅子を用意して待っていた。
その横に松川と花巻も居て、俺達の繋がったままの手をニヤニヤしながらガン見している。
恥ずかしくなった俺はバッと手を振りほどいた。
唄サンはそんな俺を不思議そうに振り返る。
『あ、や、ちが、』
唄「??」
『、、なんでもねぇ。』
唄サンは最後まで不思議な顔してたが及川が椅子をトントンと叩くと嬉しそうに腰掛け、ノートを広げた。
花「なーなー、俺達のことも紹介してくれよ。」
松「そーそー。俺らずっと空気じゃん。」
花「どーも、唄サン?俺、花巻って言います。」
花巻が自己紹介しながら手を差し出すが唄サンはその手を不思議そうに見つめ首を傾げた。
花「、、あ、アレ?俺変なことした?」
花巻は手をおろし俺達の顔を心配そうに見てきた。
及「あ、えーと、、」
及川が俺の顔を伺う。
唄サンもこの空気を感じ取っているのか俺の顔を見る。
俺は唄サンの前にしゃがみ目を合わせる。
『こいつらに耳のこと言ってもいいか?』
俺はできるだけゆっくり耳を触りながら聞いた。
唄サンは大きく頷いてくれた。
『、、花巻、松川。唄サンは耳が聞こえないんだ。できるだけゆっくり大きく話せば分かるらしいんだが、さっきみたいな花巻のスピードじゃ何も分からないんだ。、、何も。』
花巻は目を見開いた。
松川は部活前に俺が手話の本を読んでいるのを見ていたためどことなく納得したような顔をした。
松「俺、松川です。二人と同じ学年。分かりますか?」
松川がしゃがんでゆっくり話すと唄サンはうんうんと頷いて手を差し出し握手を求めた。
花「俺は花巻!俺も3年!よろしくな。」
花巻も松川同様に自己紹介をやり直し握手を交した。
唄サンと2人が仲良さそうに話しているのを見て何かいいな。と思った。
好きな人と大事なチームメイトがいる空間。
今俺が世界で最も幸せな男なんじゃないかと馬鹿なことを考えたくらい俺は浮かれた。
及「ほらほら、時間もなくなっちゃうから練習しよ!」
及川の声によって俺達はいつも通りの自主練を始め、唄サンは先程のノートに再び真剣な顔で絵を描き始めた。
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作者名:晴雛 | 作成日時:2017年12月3日 4時