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黒縁眼鏡 ページ3

なんだ、彼奴も時代遅れじゃないか。

放っといて歩き出そうとした。

肩に手が置かれる。



「……!?」

「あ……ごめん」



驚いて振り向くと、そこには男の人がいた。

大学生くらいだろうか。

黒縁眼鏡に紺色のカーディガン。

ワックスのつけていないさらさらな黒髪が、男の清潔さを強く見せつけていた。



「さっきのお礼が言いたい。ありがとう、おかげで助かった。ゆっくりと本が読める」

「……あ、別に、腹立ったのでやっただけで、むしろ騒がせてしまって、あの、すみません……」

「いや、とても助かった。……えーっと、ちょっと待ってくれ、なにかお礼を……」



男性が鞄の中を探り始めた。

待ってください、と慌てて声を出す。

あんなことで、私が誰かから何かを頂くわけにはいかない。

頭を横にブンブンと振る。



「結構です…!お気にならさず……」

「これでいいかな、はい」

「あ、あのっ、だから……」

「受け取っておくれよ」

「いや、あの、でも……」

「君に渡したいんだ」



その言葉に返せなくなった私に、彼は爽やかな笑顔で手を振り、その場を後にした。

呆然とその本を抱え、その場に立ち竦む。



「なんだったんだろ……今の……」









押し付けられたのは、表紙にも中にも、何も書かれていない白紙の本だった。

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設定タグ:抹茶カフェ , 青春 , 白紙の本   
作品ジャンル:得する話, オリジナル作品
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結鈴(プロフ) - 抹茶カフェさん» まっちゃん、okです!!なるべく早めに仕上げます! (2015年11月30日 16時) (レス) id: 68ab6cfdb3 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶カフェ - 結鈴さん» セーラー服です!私の中では、背が高く、紙の短い爽やか女子のイメージが強いです。でも、結鈴さんなりの主人公ちゃんで大丈夫です!また質問あればよろしくお願いします。楽しみにしてます! (2015年11月30日 8時) (レス) id: 1754942112 (このIDを非表示/違反報告)
結鈴(プロフ) - 主人公ちゃんって、セーラー服ですか? (2015年11月30日 1時) (レス) id: 68ab6cfdb3 (このIDを非表示/違反報告)
結鈴(プロフ) - 抹茶珈琲さん» 良かったです!!では、有難く描かせていただきます! (2015年11月16日 19時) (レス) id: 68ab6cfdb3 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶珈琲 - 鮭猫@左腕の北斗七星さん» ありがとうございます!応援に応えられるよう、更新頑張ります! (2015年11月16日 18時) (レス) id: 1754942112 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:抹茶カフェ | 作成日時:2015年11月15日 0時

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