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本棚の前で ページ2

図書館には、毎年この時期行うイベントがある。

図書館に二冊あったり、なかなか借りる人がいなかったりする本を、無料で手にいれることが出来るという、本好きには堪らないイベントだ。

読書の秋、とはよく言うが、実際のところは元々本を読まない人が本を読み始めるなんてことはない。

本が好きな人が普段以上に本を読むようになるだけ。

食欲の秋、と言った方が頷く人は多いだろう。

運動の秋、芸術の秋。

とにかく、秋はなにかやれということなのだろうか。





両手に5冊ほど本を抱えた私は、フードを深く被り直した。

俯きがちに人を避けながら、本棚に並べられた沢山の本の背表紙を眺める。



『おい、この本知ってっか?』

『知るかよ、そんなもん』



本棚を挟んで同じ学年の男子の声が聞こえてきた。思わず体がすくむ。



『マジかよ、時代遅れだな!めっちゃくちゃ流行ってんだぜ、これ』

『俺は本そんなに好きじゃねぇの、知るかっての』



図書館だというのに、なかなか大きな声で話すものだから、ちょっと腹が立った。

周りの人も、心底嫌そうな顔をしている。

同じ学校の者として、恥だ。

おもむろに足を動かして、本棚の裏に回る。



「ね、ねぇ、図書館だよ、声はもっと小さくして、話そu……」

「うわっ、Aだ!」

「な、なんでいんだよ!」

「ちょーっ、驚かせんなよ!」

「睨んでる?悪かったって帰るから!」

「あっ、ちょっ……と……」



パタパタっと足音が遠ざかる。

伸ばしたままの手が、ピクッと動いた。


苦手だ、ああいうタイプの人。

冗談なのか、なんなのか。

私がいたらダメなのか。


左手で抱えてる本を強く抱き締める。

嫌になって、また本棚に目線を戻す。

先程彼らが話していた本が、目に入った。

それは一年前に流行った物だった。

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設定タグ:抹茶カフェ , 青春 , 白紙の本   
作品ジャンル:得する話, オリジナル作品
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結鈴(プロフ) - 抹茶カフェさん» まっちゃん、okです!!なるべく早めに仕上げます! (2015年11月30日 16時) (レス) id: 68ab6cfdb3 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶カフェ - 結鈴さん» セーラー服です!私の中では、背が高く、紙の短い爽やか女子のイメージが強いです。でも、結鈴さんなりの主人公ちゃんで大丈夫です!また質問あればよろしくお願いします。楽しみにしてます! (2015年11月30日 8時) (レス) id: 1754942112 (このIDを非表示/違反報告)
結鈴(プロフ) - 主人公ちゃんって、セーラー服ですか? (2015年11月30日 1時) (レス) id: 68ab6cfdb3 (このIDを非表示/違反報告)
結鈴(プロフ) - 抹茶珈琲さん» 良かったです!!では、有難く描かせていただきます! (2015年11月16日 19時) (レス) id: 68ab6cfdb3 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶珈琲 - 鮭猫@左腕の北斗七星さん» ありがとうございます!応援に応えられるよう、更新頑張ります! (2015年11月16日 18時) (レス) id: 1754942112 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:抹茶カフェ | 作成日時:2015年11月15日 0時

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